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2016-11-22

2016年11月20日 台中頭嵙山 丸太桟道の小百岳

第四歩道から見る頭嵙山山頂(左の通信塔のあるピーク)
二つ三角点のある頂上
昨日の台中市太平区にある三汀山を登ったあと、引き続き台中の小百岳、頭嵙山を登った。この山の特徴は、山道の多くの部分が手すりのある丸太階段になっていることだ。稜線を行く道だけでなく、支稜も同様に急な登り下りがあり、この階段道が比較的安全な登山を実現している。木製階段のある場所は多いが、丸太原木を使用しなおかつこれほど長い距離になっているところは、おそらくここだけではないだろうか。

標高859mの山頂には一等三角点が設けられている。山頂には涼亭が設けられて視界はさえぎられるが、遠くまで見渡せるこの場所に一等三角点が設けられているのはうなずける。登山道は1号から5号まで番号がつけられている。北側から1号~4号の主稜線に向かう登山道があり、稜線上の道は5号となる。今回の山行は、第三号登山道を登り、主稜線上の第五号登山道を進んで頭嵙山山頂へ登り、第四号登山道を下った。ここも台中市街から多くの路線が大坑地区の入口になる大坑圓環へ走っており、さらに大坑圓環からは66番バスが第1号~4号歩道のそれぞれ登山口まで行くのでアクセスがよい。

第三歩道から登り、第四歩道を下る
歩行高度
台中市街の北東大坑區にある
第三歩道入口、左に66番ガスが去っていく
朝9時過ぎにホテルを出発、近くのバス停でちょうどやってきた51番バスに乗る。約40分の乗車で大坑圓環に到着。サークルの中心が廟になっている円環のちょうど反対位置にこれから乗る66番のバス停がある。10時少し過ぎ66番バスがやってくる。慈濟醫院が起点の66番バスは、大坑圓環から右回りと左回りの双方になりぐるっと回っていく。我々のは右回りで第4号歩道登山口になる中正露營區から3号、2号と進む。左回りだとその逆だ。10時22分、第3号歩道登山口で下車する。

第三歩道は木製階段で始まる
丸太の桟道道
今日も青空が広がりとても良い天気だ。昨日と同じく風があるので助かる。バス停から道標に従い右に下る道を進む。そこからさらに右に曲がり登り始める。10分ほどで舗装路が終わり、山道が始まる。入口には注意書きがあるが、その一つに蚊出沒Mosquito crossingという表示がある。蚊が多いというのはわかるが、英文はちょっと、と思う。おそらくDeer crossingなどという、英語圏の国で見る鹿が道を横切ることの注意書をまねたのだろうが、おかしな表現だ。

小さい子には少し幅が広いようだ

10時42分、山道を歩き始める。山道は、いきなり木製階段で始まる。上から大勢登山者が降りてくる。早くから登っているようだ。10分ほどの登りでここの特徴の丸木階段道になる。丸木の階段は、見た目より歩きやすい。ただ間が中空なので踏み外さないように注意は必要だ。丸木の間隔は狭いところ、少し広いところなど一定ではないが、大人の歩幅では問題ない。ただ小学生など小さい体だと少し大変だ。ちょうど下ってきた小学生ぐらいの子がちょっと難儀している。結構勾配がきついところもあるが、手すりもあるのでそれほど難儀とは感じない。同じ勾配でも、土の道だとまた違うだろう。

壊れた桟道
快晴の空で快適だ
丸太階段は、メンテされている。古い部分もあれば、新しい木材の場所もある。11時5分、古い丸木桟道は、がけ崩れのところで途切れ、その左に崩れた部分を迂回した新しい桟道が伸びている。11時23分右に道を分岐する。その先で、また崩れた場所を迂回する新しい桟道がある。樹木も途切れ、遠くが望める。部分的に丸木桟道が途切れ土の道がところどころ現れる。11時32分、平らな土の道になり、ベンチの休憩所も現れる。少しさらに登っていき、11時42分、土の平らな道の部分で休憩する。丸太桟道では、人がやっとすれ違うだけの幅しかないので、休憩ができない。

土の道の部分も現れる
稜線上の桟道道
松の大木脇をゆく
休憩後さらに登っていく。二人の子供づれの夫婦が下ってくる。二人の子供は小学生のようだが、先ほどの子に比べると足取りが早い。夫婦の服装や装備を見ても普段から登山をしている家族のようだ。12時ちょうど、稜線にたどり着き脇のキロポストが示す1.275㎞の第三号歩道が終わる。右に稜線を進む。ここからは第五号歩道となる。土の道は、ほどなく丸太桟道になる。登ってすぐ、右に立派な松の大木がある。主稜線はかなり凸凹があり、直線的に進む桟道は上り下りが続く。稜線からは、麓のゴルフ場の向こうに台中市街が望める。最後に急な坂を上り切り12時11分、頭嵙山山頂に到着する。休日の山頂は大勢の人であふれている。二つある三角点基石は、小さいほうが二等三角点、大きいほうが一等三角点となっている。三角点脇に並べられた空いている椅子で休憩する。

第5号歩道から台中市街方向を見る、手前にゴルフ場が見える
頂上から北東方向を見る
頂上から台中方向を望む
頂上の筆者
三角点の脇からは、東方向に新社のさらに遠くのほうには、高い山々が見える。おそらく大雪山公園付近の山だ。少し雲をかぶっている。尖ったピークは東卯山か。麓の新社は赤、黄色、橙色のパッチがみえる。新社のお花畑のようだ。12時39分、頂上の涼亭脇から1.81㎞の第四歩道を下り始める。ここからは台中市街が一望だ。一度下って登り返し、振り返れば通信塔を頭に付けた頭嵙山山頂がすぐそこに同じ高さに見える。頂上からついてきた犬が前後して丸太桟道を歩いていく。13時2分、稜線上の涼亭に到着。ここは他には誰もいないので、静かだ。少し休憩する。犬もそこで立ち止まる。柱に取り付けられた寒暖計は25度を示している。

主稜線上から頂上方向を振り返る
犬が一緒に桟道を歩く
涼亭からは、対岸にこれから下る第四号歩道がゆく枝尾根が見える。13時20分、別の涼亭に来る。ここは少し広い山頂でいくつかの涼亭があり、登山者が休憩している。第四号歩道を登ってくると、ここがよい休憩場所なのだ。ここは通過しさらに下っていく。下ってすぐにまた休憩所がある。左に土の道が分岐していく。第四号歩道は右に丸太桟道で少し登る。そこから長い下りが始まる。ところどころ土の部分が現れるが、丸太桟道も長い。登りにとった第三号歩道に比べると、勾配は緩い。13時47分、涼亭脇を通過。二か所ほどベンチを通り過ぎ、14時14分、丸太桟道が終わる。石段を下り、長春吊橋を渡る。

涼亭で休憩
展望台
第四歩道の桟道を下る
第四歩道の土の歩道部分
第四歩道の桟道開始部分、右に起点のマイルポスト
ここから産業道路を歩く。登山口にはまた注意書がある。今度は猴出沒Monkey crossingとある。これもちょっと変だ。Beware of monkeysといったようなほうが良いと思うが。産業道路は一度登り、中正露營區の入口を過ぎる。ここから下り道だ。66番バスの時刻表を見ると、まもなく下のバス停に来る。ちょうど後方からやってきた自家用車に便乗して下ったが、すでに通過後。十数分待ち、14時46分右回りの66番バスに乗車、朝下車した第三号登山口を通りすぎ、15時10分過ぎ大坑圓環へ戻る。そこから276番バスでホテルの近くへ戻った。

青春吊橋
約4時間(休憩込み)で約5.4㎞の山道を歩いた。累計で560mの登りである。この山も半日で十分歩ける。丸太桟道の続く、とても特徴のある山道を有し、展望もよい。小百岳に選ばれる由縁だ。台湾中部に住んでいるのなら、一度は登ってみる価値がある山だ。家族づれでも行ける。困難度はルートはレベル2、体力もレベル2だ。

2016年11月19日 台中三汀山 台中市街一望の小百岳

一江橋から望む三汀山
台中は、台北と同じように周囲が山で囲まれている盆地である。行政区画でいうと、現在の台中市は、今年4月に登った台湾第二の高峰雪山や昨年から今年に数度訪れ登った谷關七雄の中級山クラスの山々なども、すべて台中市区画内、あるいは境界上にある。今回訪れたのは、こうした高い人里遠い山ではなく、市街地から簡単にアクセスできる盆地のへりを構成する山だ。この峰々のうち市街の東側に、いわゆる小百岳に選ばれている山が三座ある。高度からいうと頭嵙山(標高859m),三汀山(480m)そして南觀音山(318m)となる。今回の訪問では、前者二座を登った。

第二歩道を登り第一歩道を下る

歩行高度
台中市街の東側にある三汀山
台中で用事があるので、その機会を利用し今回の登山となった。同じような機会を利用して訪れた高雄の壽山大崗山と同じような山行である。台北を台湾高鉄(新幹線)で早朝に出発し、午前中に三汀山に登頂、午後は市街に戻るというスケジュールだ。三汀山の登山口である、一江橋へは台中市街中心からバスも結構通っており、こうした登山が十分可能である。

東平路二巷の道標と背後に三汀山
台北から台中の宿泊予定のホテルに8時半に到着。ここは台鉄台中駅から遠くなく、バスも含めた交通の便がよい。登山に不要な荷物をホテルに預け、9時に75番バスに乗る。市民の足のバスは終点の一江橋へは、途中かなり様々な場所を回っていくのでそれなりに時間がかかる。9時54分、一江橋に到着する。台中は、悠遊卡などのプリペイドカードを使用すると、10㎞以内は無料だ。カードがない場合は、一律20元となる。橋のすぐ近くにある7/11で昼食を仕入れる。

歩道の表示、前方に山の清掃についての垂れ幕がある
おとなしそうな柴犬
10時3分、バスでやってきた東平路を渡り、対面の路地の東平路2巷を進む。角に咬人狗坑主步道という道標がある。ちなみに咬人狗とは人をかむ犬という意味だが、昔はどうか知らないが今は別に獰猛な犬がいるわけではない。空は晴れ、きょうは天気がとても良い。少し暑いが幸い風がある。右奥に今日の目的地三汀山が見える。三分ほど歩くと、道は左に大きく曲がりその先から登り始める。緩い坂を上っていくと、右にまるまる太った柴犬が寝転がっている。おとなしくおよそ人に咬みつくような気配はない。明日20日は、山の清掃活動が予定されているようで、垂れ幕がところどころに掛かっている。

第一涼亭
第一涼亭から望む下方の池と市街地
11時16分、カラオケの音が響く集会場所に来る。ここから右に第一歩道が始まる。とても急なセメント道を登り、道が左に大きく曲がるところで階段が始まる。枕木を使用した土の道だ。10時20分、涼亭のある分岐に来る。涼亭のはしからは、下方に池が見える。ここには立派なトイレもある。右には第一歩道が続く。左からは、先ほど曲がっていったコンクリ道が登ってくる。正面は階段で第二歩道が始まる。

第二歩道の階段を行く
第二歩道を進む
階段の第二歩道を登る。少し登ったところで、また右へ階段を続いて登る。斜面の木々が伐採され、左に台中の街が望める。緩やかな土の道を行き、10時35分に第二涼亭に着く。右へ行けば第一歩道に続く。ここは左にとって山腹を行く。10時42分、送電鉄塔の下で右から道を合わせる。左に少し行くと、産業道路と合わさる。道路下方には車が二、三台停めてある、おそらく登山者の車だろう。右に進んでいくと、430階梯と記された急な階段道入口がある。この階段を登っていく。本当に430段なのかは、数えなかったので不明だが、10分ほどで登り切ると、10時54分開けた休憩場所に来る。ベンチが三か所ほど設けられている。端のほうには、台北近郊の山がそうであるように、地元登山者たちが利用すると思われる器具設備がある。少し休憩する。

430階段途中からの展望
階段を登り切ったところの休憩所
石段を頂上へ登る
数分の休憩後、28度を示す寒暖計が取り付けられている道標を右に曲がり、舗装路を進む。すぐに右側から第一歩道が合流する。道の右側は開けて、遠景が望める。だいぶ高度が上がってきたのがわかる。11時10分、舗装路が終わり階段の山道が始まる。三汀山への最後の登りだ。上からすでに登頂した登山者が下ってきてすれ違う。10時17分、登山道は大きく右に曲がり頂上へあと一息だ。曲がったところから、左に舗装路が下っていく。登山道脇には、台湾の登山用品店歐都納の全民同登小百岳の垂れ幕が、数か所取り付けられている。明日の清掃活動と関係があるのだろう。最後の坂道を登り、11時20分広い山頂に着く。歩き始めて1時間20分だ。

広い三汀山山頂、右に展望台
展望台からのパノラマ
建物が盆地を覆いつくしている
山頂の筆者
頂上には、展望台がある。地元の登山者たちがくつろいでいる。三汀山は別名望高寮とも呼ばれるように、とてもよい展望がある。眼下の景色は、広い盆地が建物で覆い尽くされている。右(北東)側遠くには、おそらく大雪山山系の鳶嘴山ではないかと思われる尖ったピークが望める。展望台から下り、稜線を少し進む。ほんの二、三分で三角点があったと思われる頂上(埤頭山)にくる。こちらは、木々に囲まれ展望は全くない。もと来た道を展望台に戻り、少し休憩する。

埤頭山
並木の第一歩道
11時41分、往路を下り始める。分岐を左に階段を下っていく。コンクリ道を少し進み、左に好漢坡(男坂の意味)を下る。コンクリ舗装の道はとても急だ。下りきり、右に進む。その先から美しい並木の続く、幅の広い道が始まる。登りでは普通の郊外の山と同じような特徴のない登山道で、景色がいいだけの山だと思っていたが、この並木道をみてこの山が小百岳に選定されたのがわかるような気がする。12時2分、幅広の並木道が終わり、石段の山道となる。また緩やかになった幅広道を行く。右に第二涼亭への道を分け、12時10分、登りの際に通過した第一涼亭に戻る。食事休憩をとる。

第一涼亭近くから別の道で下山
地元住民が犬を連れて散歩
12時30分、涼亭の下にある別の小屋の脇から始まる別の土の登山道を下り始める。この道は、主要歩道ではないので注意するようにという看板がある。緩やかに下る道は、よく歩かれているので、注意とあるがまったく問題ない。小沢には立派な橋も架かっている。12時41分、登山口に来る。ここは、川岸で登りにとった道とは並行して東平路へ続く。12時50分に一江橋のたもとに来る。バス停で数分待つと41番バスがやってきた。来た時とは別のバスだが、同じく台中市街にいく。13時40分、台中市のホテル近くのバス停で下車した。

41番バスがやってきた





とても展望の良い山である。第一歩道の並木道は、とても気持ちのよい道だ。台中駅から直接行けば約6㎞ととても近い。バスなどの公共交通機関も、時間は車で直接行くよりは時間がかかるが、十分便利だ。今回は休みを含んだ行動時間2時間40分、約6.2㎞の距離だ。だれでも簡単に登れる小百岳である。台中を訪れた際、半日で登ることができる。

2016-11-14

2016年11月13日 福隆龜媽坑古道-遠望坑古道 大規模廃棄棚田が残る道

大湖山山頂からススキ越しに瑞芳金瓜石の山々を望む
秋晴れの海と山の景色は、時々吹き抜けていく爽快な微風とともに、実に気持ちのよい記憶を残してくれる。この時期は台湾の近郊登山の最適な時期だ。11月は、ススキの穂が風になびき、銀色の山肌を呈するときでもある。清朝時代の台北と宜蘭をつなぐ主要な旧街道淡蘭道の一部草嶺古道は、ススキの景観をもとめて多くのハイカーがやってくる。そのすぐ北にも、峠越えの古道がいくつかある。今回歩いた龜媽坑古道と遠望坑古道も、そうした古道だ。

海岸線を望む、沖には龜山島、右の山は灣坑頭山
こうした古道は、官製街道のような立派な石碑はない。主に日ごろの生活のために開かれ、歩かれていた道だ。車道が整備され、交通手段が変わり古道は忘れられる。昨年にボランティアによって整備された龜媽坑古道は、幸いなことに先月の隆隆山に比べると、引き続き多くの登山者が歩いているようで、道筋もはっきりしていた。一方遠望坑古道は、ポピュラーなハイキングコースである草嶺古道のすぐそばにあるが、もともとは谷間にあった住居の住民が生活のために使用していた性格が強く、住民が移住した後は多くの棚田とともに自然に戻っていったようだ。こちらは、道が土砂崩れで流されている部分があり、状態は必ずしもよくない。

福隆駅から右回りに歩く
歩行高度
福隆駅、多くのハイカーが下車
自強号急行で8時40分に福隆に到着する。今日は、天気がとてもよく車内は満員、プラットフォームに降りても人であふれている。ほとんどの人は、草嶺古道へ向かうハイカーだ。押すな押すなの人ごみから改札口を出て、メンバーが集合する。事前に出席の知らせがなかった仲間もいる。最終的に十名のメンバーだ。9時に駅前を出発する。線路沿いの道を進む。前方には、前回苦労した隆隆山の山並みがくっきり見えている。わずか二分ほどで、右に鉄道橋の下をくぐる。土地公の前に出て、左に産業道路をとる。ここから山に向かい進む。風が吹き抜けて、今日は快晴だがそれほど暑さに苦労しなくて済みそうだ。

龜媽坑古道入口、犬が吠え立てる
バナナ畑の脇をゆく
9時18分、道路が右分岐する。少し入ると四匹の犬が一斉に吠え立てる。民家脇のところから龜媽坑古道西線が始まる。龜媽坑古道は、これから進む西のルートと、分岐せずに舗装路を最後まで行ったところから始まる東線がある。我々は、この西線をとり山を登る。最近屋根のコールタールを塗り返した民家の屋根の脇を道は進み、すぐに左におれてバナナ畑の脇を行く。畑が終わると雑木林の古道になる。9時33分、石積の廃屋前を過ぎる。こうした廃屋は、古道の古道であるが由縁である。以前はこの地に人が暮らし、この道を日々歩いていた。

廃屋を通り過ぎる
秋の日差しが雑木林の中にしみこんでくる
石段が現れる。これも古道の特徴だ。道は雑木林の間を緩い坂道で登っていく。南の桃源谷からずっと東北端の隆隆山まで、雪山山脈末端のこの山並みは、北側は緩やか、南側は断崖のような急斜面で海岸に落ちる。北側のこの斜面には、畑を起こし人が暮らすだけの場所がある。9時53分小沢のところで一休みする。もう一つの小沢を越え、10時10分稜線に出る。右から虎子山古道が合わさり、峠を越えた道は遠望坑方向に下っていく。ここは左に、山腹をゆく龜媽坑古道をそのまま進む。先ほどの稜線の北側で薄暗かったが、ここで方向が変わり、木々を通してくる光がまばゆい。木々の間より、草山など金瓜石の山々がくっきり見える。

藍天隊の道標
10時29分、藍天隊の新旧道標がたくさん取り付けられた分岐に来る。そのまま進めば龜媽坑古道西線を、のちに通る鞍部へと行く。ここから左に稜線の道をとる。分岐からすぐ上に中心崙(標高345m)がある。と、いっても山頂でなく山腹に埋められた基石があるだけだ。さらに少し登ると、また分岐だ。左は龜媽坑古道東線へ下る。右に稜線上の道を進む。この道は、先ほどの龜媽坑古道に比べると歩かれている頻度が少ないのか、少し草深い。といっても、隆隆山にくらべればずっとましだ。日差しが雑木林の中まで照らし、明るい。10時37分、池がある。おそらく灌漑用に作られた池ではないか。そのすぐわきには墓もある。今はだれも墓参りに来ない、忘れ去られた墓だ。緩やかに登る道は、草深くところどころ倒木もあるが、問題ない。10時55分、すこし休憩する。

大湖山山頂のメンバー
頂上から望む龜山島
頂上の筆者
休憩後十分ほど進む。ススキが現れ、山頂が近い。左には、隆隆山の山並みが見える。11時16分、大湖山山頂(標高489m)に到着する。今日の最高点だ。昨年5月に訪れたときは、周囲の草は刈られてもっと広い感じであった。今日は季節の違いもあるのだろうが、ちょっと狭い。すっかり晴れ上がった海の沖合には龜山島が浮かぶ。秋の風がススキの穂を揺らし吹き抜けていく。日差しは強いが、あまり暑さを感じない。実によい季節だ。

ススキの間を下る
十字鞍部で昼食休憩
写真撮影の後、右に稜線を下り始める。下り口からは、灣坑頭山の特徴ある山を含む桃源谷の山々が、とてもくっきり望める。目を凝らせば草原の稜線上を行く、石段歩道も判別できる。その向こうには、遠く鶯仔嶺やさらにその左には蘭陽平野、そして雲の上に太平山がうっすら浮かんでいる。秋は空気中の水蒸気が少ないのだろう、前回よりずっとくっきり見える。少しくだると、背より高い矢竹の中を進む。矢竹の切れたところからは、前方に山並みが見える。この先雑木林に入ると展望は終わる。牛が歩いているせいだろう、道はところどころ土が掘り返されている。11時48分、稜線道を下りきり、十字路鞍部に到着する。ここで食事休憩をとる。秋とはいえ、暑いので冷えたビールはうまい。

山羌の足跡
40分ほどの長い休憩のあと、12時半右に山を下り始める。昨年5月は峠から直進して、稜線を草嶺古道の峠啞口へ出た。左に行けば石城へ急坂を下る。峠から少し下り、小沢が現れる。左に山投林の間を左に回り込む。峠から数分で、右に龜媽坑古道西線が分岐する。先ほど小沢のところに龜媽坑古道西線と記した古い道標があったが、これは旧道で今はこちらのほうが歩かれているようだ。分岐は左に遠望坑古道を進む。午前中、時々耳にしていた山羌の新しい足跡とフンがある。ここまで道すがらでも、フンも見つけた。谷を進んでいくと、また別の沢が現れる。ところどころ崩れている場所もある。そのうちに棚田が現れ、道には苔むした石段が続く。かなりの段数の棚田を過ぎ、13時に集落跡にくる。王家住居跡と記されているが、数戸の石積廃屋がある。かなりの人数で暮らしていたようだ。

苔むした石段が続く
割とはっきり原型を保つ棚田
王家古厝遺跡
沢沿いに下る、右には棚田
沢を渡る
廃屋からさらに下っていく。道は沢沿いに下り、その脇には棚田が何段にも続く。樹木が生え自然にもどった棚田は、土留の石積がなければわからないかもしれない。数分で沢を越える。その先にも棚田はある。これだけの棚田をやっていくには、先ほどの集落の規模が必要だったのだろう。住民がすべて移住し、自然に戻ってしまった。これだけの規模の棚田を開墾するには、かなりの労力、血と汗を投じたに違いない。しかし、自然の力は大きい、わずかの間にもとの姿に戻してしまう。雙溪の中坑古道は、田んぼが草原に換わった棚田が多く残るが、このような棚田は実は例外だ。

山腹の緩やかな道をゆく
廃屋前で最後の休憩
13時30分、土砂崩れで道がきれてしまった場所を過ぎる。沢を越えたあとは、右岸に道が続く。道は緩やかになり、沢のかなり上を進んでいく。13時13分、左から保線路を合わせる。その先途中道が分岐するが、また一緒になるようで、右にとって進む。13時55分、壁だけの残った住居跡に来る。ここで一休みする。青空はとても高く、住居跡の石枠上に生えるススキが寂しさをかもしだす。

産業道路から金瓜石の山並みを遠望
草嶺古道との合流点、左が古道。ハイカーが多い
14時10分、最後の歩きだ。すこし進むと産業道路にでる。左に舗装路を下っていく。前方には、瑞芳金瓜石の山々が広がる。ヘアピンカーブを曲がり、14時21分草嶺古道と合流する。ここから俄然人が多くなる。今日は古道を歩き始めてからは、他人には全然出会わなかった。草嶺古道は、まったく別世界だ。忘却の棚田の古道から、いきなり現実の世界に戻された感じだ。親水公園内の道を進み、車道にでる。14時51分、濱海公路の遠望坑口に着いた。11月のこの時期は、福隆駅までシャトルバスがある。先ほど、ちょうど前の便が出たところだった。歩いてもいけるが、結局30分ほどバスを待ち、福隆駅へ戻る。数分遅れの復興号急行にちょうど間に合い、台北へ戻った。

親水公園内の道をゆく
臨時シャトルバスのお知らせ
歩行距離約10㎞、登攀累計860ⅿ、休憩込みで6時間の行動時間だ。メンバーの足並みがそろっているので、スムースに完了した。風が吹き抜ける、快晴の秋の山歩き、実に爽快だ。行きは満員だったが、帰りは座れなおかつ1時間ほどと速く台北に帰って来られた。遠望坑古道はすこし困難度が高いが、龜媽坑古道西線や大湖山は道筋もはっきりしているので、大丈夫だ。困難度はルートはレベル3~4、体力はレベル3である。