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2012-01-21

2012年1月19日 汐止新山-五指山古道

夢湖と背後の新山
新年一月は、雨が降り続き山も見えない日が長く続いた。3週間のどんよりとした日々の後、3、4日雨なし日があった。この間の一日に、汐止の新山を登り、五指山古道を経て下った。午前中天気は晴れていたが、春先の山のようにぼんやりとしており、期待していた周囲の山景はそれほどでもなかった。台北周囲の山々のうち、市中心から見ると北東に位置するこの五指山系は、5月に行った大崙頭山以来ずっと行っていなかった。今回のルートは雨が長く降り続いた後の登山であることに加えて、山道は新山からへ五指山古道へ行く途中、一部あまり歩かれていない部分もあり歩き難いところもあった。五指山古道は、苔むした石の階段や周りの造作など、風情がある。

新山は台北市の北東に位置する
行程ルート(クリックで拡大)
夢湖路の分岐点、背後の尾根を保線路が行く
家から汐止へは、直通バスや電車、MRTとバスの乗り継ぎなどさまざまな交通機関がある。今回は919番の環東高架道経由直通バスに乗った。汐止は行政機関の提供する無料コミュニティバス(汐止区役所サイト参照)が汐止駅から各方面に運行されている。新山の麓烘內までは、五指山行きと瑞士山荘行きの2系統のバスが利用できるが、朝の時間帯は瑞士山荘行きが都合がよい。台北から919番のバスが7時45分ごろに汐止駅に到着し、8時発のコミュニティバスに乗るつもりであった。ところが8時になっても来ない、様子を聞いてみると瑞士山荘行きのバスは駅前の大同路の対面側が始発場所ということである。急いで道をわたっていったが、すでに出てしまっていた。行き先によって、バスの始発位置が駅側と大同路側の2箇所に分かれているので注意が必要だ。次のバスは1時間半後である。幸いにして、便数が非常に少ないが890番のバスが8時半にあるので、これにて烘內へ向かう。乗客は全行程自分ひとり、これではバス会社も便数を少なくするはずだ。行政のコミュニティバスはそれを補うためのものだろう。自動車が普及したとはいえ、老人や子供などこのコミュニティバスが必要だ。

汐萬路脇の保線路入口
烘內は瑞士山荘へ向かう道とそのまま五指山へ続く汐萬路が分岐する。9時少し前に出発、左に汐萬路を歩く。少し行くと廃墟になっているビルがある。ホテルか何かの目的で立てられたのだろうか。道の右むこうには、これから登る新山からの南尾根とその奥には五指山がある。間もなく右に新山夢湖に続く夢湖路が分岐する。これを歩いていっても新山へいける。汐萬路をさらに歩くこと10分、右の木々の間に台電保線路入口がある。この道は新山南尾根上にある3つの送電線塔保守のためにある道だが、登山客も多く歩いておりそこそこ整備がされている、歩きやすい山道だ。標高約300mにある夢湖まで高度差250mを距離3.2kmかけて登るので、ゆるい登りだ。途中平坦な部分もある。

森の小道
なだらかな登り道を行く。道幅も結構あり、森の小道の趣だ。2日間は雨が降っていないはずだが、それまでの長雨のためだろう、ぬかって滑りやすいところも現れる。はじめの送電塔の前では少し登りが急になる。次の送電塔までは、少し下りまた登り返す。木々の間から、新山が遠くに見える。2番目の送電塔を過ぎ歩いていくと、小沢を渡る。橋を掛けたのだろうが橋板がなく2本の丸太だけが沢の上にかかっている。3番目の送電塔を過ぎ、登山口から歩くこと1時間10分ぐらいで沢音が大きくなり、夢湖が近いことがわかる。右から夢湖路から上がってくる歩道と合流すると、程なく湖に着いた。

丸太だけがかかっている沢
夢湖は山中の湖である。湖畔を遊歩道が囲む、今日は営業してないが喫茶店もある。エメラルドの湖水は、背後に控える新山を写して美しい。霧がかかると、その名の通り幻想的な雰囲気をかもし出すだろう。湖畔にいたカップルは、遊歩道の脇から突然現れた自分に少し驚いている様子だ。多くの観光客は、夢湖路を自動車やバイクで上がってきてすこし下の駐車場で下車したあと、遊歩道を歩いてここに来ている。


夢湖、左側に喫茶店、その奥から新山へ登る
新山の登りから見る夢湖
新山頂上へは、湖の右側、左側とどちらからも道がある。左側は、湖の奥のほうに登り口があるようあだが、そこからではなく喫茶店のすぐ脇から登っている急な道を登ることにした。こちらは、あまり整備されていないが、迷うことはない。登りきり小尾根を行くと湖からの道と合流した。ここから新山へはまた急なのぼりとなる。湖との標高差は200mぐらいある。右に湖が眼下に見えるスポットを過ぎる。枕木階段や補助ロープがかかっている部分もある。

湖から登ること30分で新山南西尾根を登ってくる道と合流する。ここは大きな岩が反対側にせり出し、展望が利く。軍人公墓がある五指山は谷を挟んだ向こう側にそびえている。写真を写した後、頂上に向かって進む。歩くことわずかで、案内板が取り付けられている岩の新山頂上(標高499m)についた。時刻は11時15分、烘內から歩き始めて2時間半だ。ここは360度展望が利く。空は青く晴れているが、遠くの景色はかすんではっきりしない。基隆山や五分山なども見えるはずだが、霞のなかである。反対側は五指山、友蚋山、七分寮山が連なっている。友蚋山へは新山から尾根がつながっている。これらの山は新山より高いので、その向こう奥にある陽明山系は見えない。岩の新山頂上はさえぎるものはないが、風もなく冬の日差しは強くないので、ここで休憩し食事をとる。

新山頂上から北方面(五指山の山なみ)のパノラマ
新山の三角点

新山から下り始める。途中岩に足場を掘り込んだ部分なども現れる。15分ぐらいで、友蚋山へつづく道との分岐につく。ここを左にとり進む。ここからの道は、それまでとはずっと異なり、あまり手が入っていない道となる。山岳クラブの道しるべリボンがところどころにかかっているので、迷うことはないが足元には注意が必要だ。新山頂上から右下に見えていたピーク、無名峰からの下りは急で滑りやすい。蜘蛛の巣が多い。何の動物が掘ったのだろうか、道脇に直径10数センチの穴がある。穴の中に潜んでいるのだろうか。標高100mぐらい下きり、鞍部から急な坂を登り返すと、いきなり枕木の整備されたよい道に飛び出た。そのすぐ上は立派な展望台がある。ここは新山頂上から見えていた展望台だ。時刻は12時半、新山から約50分である。

動物の掘った穴
展望台から見ると、新山がデンと座っている。頂上の案内板が見える。その直下は切り立った岩壁だ。五指山や友蚋山を見ると、ガスが去来し始め頂上が見えない。もともとここからさらに登って友蚋山を往復した後、五指山古道へ進むことを考えていたが、この様子では登っても景色は見えないだろう。枕木の道を進むと別の展望台があわられる。台北市のほうが見えるが、やはり霞の中、かろうじて101ビルと南港山の輪郭がわかるだけだ。展望台から下りきると、舗装された七汐農道に飛び出た。舗装路の反対側には、友蚋山への登山道が続いている。友蚋山は次の機会に譲り、今日は道を左にとり五指山古道入口へ下る。

展望台からの新山

五指山古道入口
途中右に軍人公墓へと続く道が分岐する。舗装路を進むこと約20分、民家を2,3軒過ぎた後、左に五指山古道の入口についた。時刻は1時少し過ぎ、晴れていた空は曇ってきた。風も出てきたようだ。入口脇には地方政府の立てた案内板がある。古道は道幅がある。ひとつの岩を一段とする苔むした石段の部分も多くあわられる。苔は結構厚く、それほど滑らない。ただ下りは注意していくに越したことはない。結構急な下りが続く。下ること十数分、ノコギリの音などが聞こえてくる。いきなり古道が切れて、右に建設中の大きな建物が現れる。新山頂上からみえていた森の中の建物がこれだろう。建物の脇には池がある。完成後にはレストランにでもなるのだろうか。
苔むした石段の道

ここを過ぎると、また古道となる。同じように石段や枕木の階段が交互に現れる。入口から約30分で木々の左奥に大きな滝が見えるところまで下りてきた。ここは立派に整備されている。この先は古道は沢沿いを行くようになる。沢を石の橋で渡りさらに下ると重柔橋という立派な石橋を渡る。前後には砂利も敷いてある。さらに行くと沢の左右に建物がある。ここは食養山房というレストランのようだ。道はこのレストランの脇をいき駐車場を過ぎると、また山道になる。ここは古道全体の中間位置だ。

沢を石橋で越える、右奥に大きな滝
古道はここから整備度が落ちる。刈られていない草深い道には、途中大きな落石が道をふさいでいる。枕木もかなり腐食しているところがある。谷を下がった左の山腹には廣修禪寺が見えてきた。左に新山南西尾根の登山道が分岐すると、古道も終点が近い。古道入口の脇には沢をせき止めたプールがあるが、夏にはここで泳げるそうだ。舗装はされていないが広い道をいく。振り返ると新山が見える。柯子林茶莊のわきで汐萬路と合流する。時刻は2時15分、約1時間の古道歩きであった。

落石が道をふさいでいる

ここから烘內へ向かって下っていく。時々車が過ぎていく。五指山行きのコミュニティバスとすれ違った。保線路の入口を過ぎると今日の行程は間もなく終わりだ。2時45分に烘內に着いた。3時過ぎに瑞士山荘からのコミュニティーバスがやってきた。バスには結構乗客が乗っている。途中さらに乗客を乗せ、満員になった。10数分で汐止に着き、ここから668番バスで台北に戻った。

五指山古道入口




今日の行程は11.5km、歩行時間は休憩も含め5時間45分、標高差は約450mである。景色はそれほどではなかったが、天気もよく久々の山歩きで、愉快な一日だった。次回五指山系に来るときは、友蚋山へも行ってみよう。

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