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2012-10-05

2012年10月4日 新店雞心尖 - 直潭山縱走 台北市街と翡翠水庫を眺める

中嶺山から見る翡翠水庫と背後の烏来-坪林の山々
縦走路(翠峰路鞍部)から見る台北市街
今年二月に直潭山を訪れた際、頂上から左に長春觀へ山を下る道から別れ尾根上を進む道があった。調べてみると、この道は雞心尖まで尾根が続き、縦走路として歩かれている。縦走路上の中嶺山等からは台北市街と反対側には台北の水甕、翡翠水庫ダムも展望できる。とても興味を引かれた。ただ、このコースは所要時間が八、九時間の健脚ルートとのこと。その点が心配で、そのまま暖めている状態だった。あと数日で玉山登山がある。九月半ば天母から七星山まで高度差を歩く確認をしたが、この雞心尖から直潭山までの歩きができれば長時間の歩行も大丈夫だという確認も含めて、行ってきた。前日ジムでの運動のあと、窓から直潭山がはっきり見え、誘っているようにも見えた。

北側の雙坑から新烏路まで歩く(画像クリックで拡大)
付近の歩いた縦走路も同時に表示、台北に南側になる
この縦走路は、かなり前はよく歩かれたのだろう。古い壊れかけた台北市建設局の建立になる道標が、ところどころに残っている。今は、それほど人気のあるルートではない。平日のこともあるが、山中では一人も出会わなかった。ルート中一部踏み跡的な道も出現する。新店から坪林にむかう北宜公路の雙坑から一旦谷底におりる。登山道はそこから始まる。雞心尖への道は等高線が混んでいる急な登りだ。大石がゴロゴロする沢から山腹に取り付き、シダの斜面を登っていくと、雞心尖前峰に着く。そこから道は、ゆるやかになり雷公坡への分岐にゆく。道は方向を南に変え、中嶺山へ登る。中嶺山からは一旦鞍部に大きく下り、石碇後山へ登り返す。その後も赤腳蘭山、暗寶劍山と峰越えが続くが、登り下りの高度差はそれほどない。暗寶劍山から下ると峠越えの翠峰路に一旦出る。そこからまた登り返すと縦走路最後のピークで一番高い直潭山に着く。直潭山からは長春觀へ下る。今回は、そこから新烏路の清水巖への舗装路を下った。途中二龍山へ立ち寄った。

雙坑から見る雞心尖と右側の縦走路稜線
新店から緑12バスが、雙坑を通って行く。7時15分発の便に乗るため、6時40分に家を出発した。MRT新店駅のバスターミナルでは、すでにバスを待つ行列ができている。小学生が多く並んでいる。遠足なのかと思ったが、そうではなく雙峰小学校へ通学しているのだ。新店にも小学校があるのになぜ、山中の雙峰小学校へ通うのだろうか。大半の小学生乗客が雙峰国小バス停で下車したあと、その先の雙坑バス停で一人下車する。7時40分、右に下っていく道を進む。目の前には雞心尖の双峰が高くそびえる。結構多くの車が、この道を上がってくる。右側は日に照らされた尾根が見える。今日歩く石碇後山、赤腳蘭山あたりの稜線だろう。谷底に近づくと豚の鳴き声が聞こえる。どうやら豚の飼育場があるようだ。十数分で下りきり、橋を越える。そのすぐ左に標識リボンが沢山枝に結ばれている。ここが入口だ。

涸沢の道、古い道標が立つ
急な坂を登ると、大岩の前に造られた廟の広場にでる。犬が二匹、猛烈に吠えてくる。この広場の山側にある石段が登山口だ。いきなり急な登りが始まる。しばらく登ると、道は右に山腹をトラバースしていく。木々が少し切れ、谷の向こうに三月に歩いた二格山やそれから連なる猫空尖までの稜線が見える。中華電信通信アンテナもはっきりわかる。廟の入口から登ること30分ぐらい、大石のごろごろする沢に着く。水はほとんどなく、涸沢に近い。北側に面しているので、この時間は薄暗いなか、苔むした石の道を登る。古い道標が涸沢の中に建っている。雞心尖0.6kmとある。補助ロープのかかった岩が現れる。左に小さな滝をみると、右へロープの岩が登っていく。これを登ると、道は沢を離れ山腹を右に回り込んだ後、尾根に取り付く。道は相変わらず急な登りだ。左側に雞心尖の尖ったピークがまだ遠い。沢から離れ、さらに30分ぐらいの登りでシダの下草の斜面を登る。ここは樹木がなく台北市街方向のパノラマがよく見える。中和、板橋の向こうに観音山が座っている。右には新光ビルが高い。ここからは信義地区方向は見えない。

雞心尖の登りから見る台北市街(中和、板橋方面)、遠くに観音山
黃苞根節蘭の黄色い花
更に20分ほど登り、9時30分ひょっこりと古い道標が中心に建っている小広場に出た。ここは雞心尖前峰だ。今日の一番きつい登りはこれで終わりだ。高度差約400m、1時間半の登りだった。立ったまま一休みした後、雞心尖を目指す。平な道を歩くこと、ほんの数分で三角点のある雞心尖(標高519m)についた。前峰と同様、ここも樹木に囲まれ展望もないので、そのまま通り過ぎる。ゆるい下りを行くと、道端に黄色の花を沢山つけた地生蘭である黃苞根節蘭が数株咲いている。今はちょうど季節なのだろう、このあとも縦走路ではしばしば見かけた。緑の林の中で、黄色の花はひときわ目立つ。雞心尖から20分ほどで、四方向分岐、続いて三方向分岐を過ぎる。それぞれ直進する。登りが始まり、補助ロープの急斜面も現れる。尾根上の道が左側の山腹を進むようになり、登りつめると雷公坡への分岐だ。東方向に歩いてきた道は、ここで南方向の尾根道に変わる。古い道標では中嶺山まで残り0.8kmとなっている。

尾根上の道を進む。雑木林の中の坂道を登って行く。ここにも黃苞根節蘭が咲いている。突然樹木が途切れ、10時半に広々とした中嶺山(標高626m)の頂上に着いた。草が周囲に生えているが、視線の妨げになるものは少ない。これが期待してた展望だ。台北市街方向がよく見える。反対側の谷には翡翠水庫の湖面が望める。東方向には、二格山、その右には皇帝殿山、それを右にたどると山腹に華梵大學のキャンパス、その背後の大きな山塊は獅公髻尾山だ。手前の翡翠水庫の左に鎮座する山は樹梅嶺山だろう。目を反対側に向けると、これから縦走する石碇後山と赤腳蘭山がある。その奥は大桶山のようだ。北插天山の三角ピークも見える。翡翠水庫の対岸には大桶山から連なる山々が、坪林の方へ伸びている。その背後には、まだ名をしらない高山の稜線が見える。時々まだ強い陽射しがさすが、360度パノラマの中で食事をとり、ゆっくり休憩する。

中嶺山山頂、背後に二格山が見える
台北市街方向を見る、手前の山は雞心尖
これから歩く縦走稜線、左が石碇後山、その右が赤腳蘭山
中嶺山と石碇後山の鞍部
30分ほどの休憩のあと、11時に縦走路を石碇後山へ向かう。中嶺山からは翡翠水庫方向へ伸びる尾根があり鷺鷥潭山への道が分岐するが、縦走路は右の道をとる。下ってまもなく、右に雙峰路への道を分岐する。古い道標の腕の部分が地上に置かれて方向を指している。竹林を過ぎ行くと、左側に樹木がきれて翡翠水庫が眺望できる。水庫は満水だ。山道は、突然幅の広い送電鉄塔保線路にでる。鉄塔のところから、石碇後山への標高差約180mの登りが始まる。縦走中、二番目の大きな登りだ。道はまもなく左右二つの道に別れる。藍天隊道標の示すところでは、あとで合流するそうだ。左側の道は、樹木が低く展望もよさそうなので、そちらを取る。時々草深い中を行くが、概ね水庫側が開けた登りだ。湖面はここからでは見えないが、振り返ると中嶺山から水庫へ尾根が下っていくのがわかる。右からのもう一つの山道が合流すると、林の中の道となる。一度小ピークを越え、もう一度登り返すと石碇後山の頂上につく。時刻は11時48分、中嶺山から約50分の道のりだった。

縦走路から見る翡翠ダム
石碇後山頂上
石碇後山頂上はかなり広いが周囲は樹木で展望がない。片隅に石積みの廃屋の壁がある。これは、百数十年前原住民地帯との境界を管理するため隘勇隊員が駐在した隘勇寮の遺跡だろう。獅仔頭山の隘勇寮遺址は、地方行政が手を入れて、保存されている。同じ目的で造られたものだが、人気のない山奥ではひっそりと自然に帰っていくだけだ。ここは休まず、そのまま次のピーク赤腳蘭山へ向かう。道は、狭く踏み跡に近いところもある。先ほどの保線路とは段違いだ。草薮の中に飛び込み、草をかき分けて進む。下がっていくと、右に台北市街の町並みが見える。方向を示す腕木がない、柱だけの古い道標が建っている。ここが鞍部のようだ。登りが始まる。道に山茶花の白い花が落ちている。ここだけではないが、緑に苔むした石の上に落ちた花は、ひときわ目を引く。12時17分、石碇後山から30分で赤腳蘭山(標高656m)の頂上についた。ここも樹木の中の頂上で展望はない。左に標識リボンがかかって、踏み跡が続いている。おそらく烏嘴尖への道だろう。少し休憩した後、暗寶劍山へ縦走路を進む。

苔石の上に落ちた山茶花の花
草薮をかきわけて進む
第62番送電鉄塔の下から見る縦走路の山並み
赤角蘭山隘勇寮遺址
暗寶劍山頂上
しばらく下ると、62番送電鉄塔の下にひっこりと出る。鉄塔の下は樹木がないので、展望ができる。歩いてきた赤腳蘭山から向こうに縦走稜線の山々が連なっている。また森の中に入り進むと、烏嘴尖からの道と合流する。補助ロープもある急な登りを登る。赤腳蘭山隘勇寮遺址が現れた。ここは、先の石碇後山のものより規模が大きい。ここも、訪れるのは時々の登山者ぐらいだろう。隘勇寮遺址から少し下り、鞍部から登り返す。赤土の現れる結構急な登りだ。1時10分、暗寶劍山(標高678m)に着いた。頂上周囲の半分は草が覆っているが、ここも展望がない。これからあとは、最後の直潭山へ下りと登りなので、腰を下ろして休憩し、食事を取る。

歩きやすい暗寶劍山からの登山道
暗寶劍山からの道は、今までと比べると俄然良くなる。幅の広い保線路のようだ。下ること数分で、隘勇寮遺址がある。赤腳蘭山隘勇寮遺址に比べると、規模が小さい。さらに下り第65番送電鉄塔の下をくぐる。暗寶劍山頂上から約20分で、峠越えの翠峰路に出た。時刻は13時42分。翠峰路を少し雙坑側に行くと、左に直潭山の登山口がある。その右は果樹園だが、木々が低いので台北市街の全容が眺められる。直潭山への道も広くて歩きやすい道だ。今日の縦走路中、暗寶劍山から直潭山への部分が道の程度が最も良い。鞍部からの標高差約70m、20分ほどで14時15分に直潭山頂上(標高729m)に着いた。

通信設備のある頂上は前回二月と同じだ。展望がないのですぐ山を下ることにする。道は小尾根を急斜面で高度を下げていく。補助ロープの部分は慎重に下る。下りきり少し行くと、右に樹木が切れて台北市街の展望が利く。右に新城花園への道を分岐、その先でも同じく右に分岐した後、もともと茶畑の開けた部分を通過する。さらにロープのある下りを過ぎ、竹林が現れると山道もまもなく終了だ。人家が現れ、すぐ長春觀につく。水道の蛇口で顔を洗う。15時半、直潭山頂上から約1時間の下りであった。

台北市街全景が見える(クリックで拡大)
二龍山頂上
四分子産業道路へ下り、前回はそのまま道なりに通り過ぎた福德祠の分岐を左に折れる。すぐに下りが始まるが、まもなく右に土の道が分岐する。ここは二龍山の登山口だ。登山といっても、ほんの数分枕木道を行くとそこが二龍山頂上(標高352m)だ。周囲は樹木で展望はない。ベンチが四つ据え付けられている。ここで少し休憩し、残っていた握り飯を食べる。今日はすでに八時間近く歩いているので、かなりエネルギーを消費している。頂上先の送電鉄塔のわきから、道が下っている。それを行くと舗装路に合流する。ここからは、この道を新烏路まで下るだけだ。檳榔樹の林や人家が現れる。左に大きく曲りさらに下がっていくと、向こうに拔刀爾山の山塊が見える。その先は、右の山壁が崩れ、一方道の左肩基盤が大きく剔られて谷底に山崩れをしている。最近の台風による大雨で崩れたのだろう。かろうじて車一台分の道が残っている。現在復旧工事進行中だ。更に下ると、道の方向が変わり、大桶山が遠くにみえるようになる。別の工事中区間を過ぎ、左に民壯亭の集落が見えると、終点はもう目と鼻の先だ。新烏路に下りきり、16時30分前に清水巖のバス停に着いた。長春觀から1時間の下りだ。待つこと数分、満員の849番バスがやって来た。

山崩れ現場
今回は、果たして長時間行程だった。休憩も含めて所要時間8時間50分、距離約15kmである。距離の割には時間が掛かっているのは、縦走の山道部分が多いためだ。六座のピークを越えてきたので、累計の登攀高度は1187mとなっている。七月に歩いた獅仔頭山から熊空山への縦走も長丁場だったが、それに比べると、距離も時間も更に長い縦走であった。やはり健脚向けルートだ。

民壯亭の集落と背後の大桶山

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