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2012-10-01

2012年9月30日 陽明山內雙溪古道から風櫃嘴へ - 再び草原の山

ひとりの北五指山頂
秋風が吹き始めると、草原の山々は快適な山歩きの対象となる。青空のもと、広々とした芝生の草原を涼風に吹かれながら闊歩するのは、至上の楽しみだ。陽明山山系は、その昔草山と呼ばれていたぐらい、草原の多い山だ。2週間前には陽明山山系の内雙溪にある荷蘭古道を歩いた。今回は平等里の内厝から、同じく幾つかある内雙溪谷あいの古道、内雙溪古道に入り、北五指山を経由して石梯風櫃歩道へ、その後杏林山から前回とは反対方向に風櫃嘴へ歩いた。風櫃嘴からは至善路三段へ下り、聖人橋バス停へと出た。

沢を越えていく內雙溪古道
内雙溪古道は、坪頂古圳親山步道から分岐して山腹を進む水道脇の道をたどり、谷底に着いた後は沢沿いに擎天崗へ登っていく。内雙溪古道が谷を行くのに対し、谷の西側を並行する尾根筋を行くのが瑪礁古道である。坪頂古圳步道の清風亭あずま屋から始まり、枝尾根を登って擎天崗へつながる。清風亭から新圳頭山(瑪礁山)を越えた後、左に内寮から上がってくる道を、そしてすぐ先で右に内雙溪古道へ下りていく道を分岐する。この右に分岐する道は、内雙溪古道の中間辺りにつながる。内雙溪古道を登って行くと、右に折れ石梯嶺の山腹を横切っていく道がある。この道は途中分岐があるが、そのまま直進すれば北五指山へ続く。これらの道は、言うまでもなく陽明山国家公園管轄外の土の素朴な道である。

西の內厝から北へ、その後尾根道をたどって風櫃嘴へ
最近の陽明山山系歩きも表示
杰拉華台風(日本での十七号台風)が、台湾の東沖で方向を変え北東に進んだ後、涼しい秋風とともに晴天が戻った。今日は旧暦八月十五日、中秋節だ。スタート点平等里の内厝へは、MRT劍潭駅から小19番バスが行く。7時20分発の小19番バスに乗るべく家を6時40分に出発する。以前はMRT忠孝新生駅から乗ったが、今日開通する東門駅からスタートだ。乗り換えも含め20分弱で劍潭駅に到着した。劍潭駅のバス停では小18番は乗客が多く行列ができているが、休日にもかかわらず小19番の乗客は少ない。登山客は自分以外には、メンバー数名の1パーティのみ。乗車三十分ほどで内厝バス停に着いた。いつも思うのだが、台北近郊の山はアクセスが便利だ。台北市中心部に住んでいることもあるが、山深い三峡熊空や遠い宜蘭の山を除いて、どの方向の山でも一時間ぐらいで登山口に行ける。

清風亭とスタンプ台、右の大石わきから瑪礁古道が始まる
7時50分、台北市親山歩道の標識に従い、狭い舗装路を登りはじめる。十分足らずで坪頂古圳步道の入口に着く。途中左に手前の尾根から七星山が頭を出し、朝日に輝いている。石畳の道を登ると五分ぐらいで鞍部の清風亭だ。数名の登山客が談笑している。わきにあるスタンプ台の奥に土の山道が続いている。これが瑪礁古道だ。道はゆるい登りをいく。雑木林や竹林が現れる。右の谷底から吹きあげてくる風が涼しい。セミに替わって秋の虫の声も聞こえる。登り十数分で、立派な杉林の中の急坂につく。登りつめるとまた雑木林の道となる。ピークを二、三越える。そのうちの一つが新圳頭山(標高550m)なのだろうが、気づかなかった。

右の道が內雙溪古道へ続く、石にペンキ書きの道案内
山を下って行くと、道の中央に陽明山農場の境界石柱がある。左から内寮よりの道が合流する。もし小19番バスを終点の内寮まで乗れば、この道で来れる。さらに少し行くと、尾根をそのまま行く道と、右に山腹を行く道の分岐に着く。道端の石にペンキで道案内と路程1.4kと書いてある。これは清風亭からの距離のようだ。ボランティア劉永生さんのメンテする道標だ。右の道をとり、内雙溪古道へ向かう。道は平らか少し下り気味だ。ところどころプラスチック製の水パイプが路面に現れる。石に白ペンキの路程もある。分岐から約20分沢音も大きくなり、8時40分に内雙溪古道に合流した。右下に水源保護のための鉄柵の門がある。内雙溪古道はその門わきを下ると沢へ下りていくようだ。

台灣石

台灣石の休憩所








ここからは、内雙溪古道を登っていく。沢が近くなる。すこし開けた沢わきには、石を積み上げた塀がある。ここは昔何か作業をしていた跡だろう。まさに古道の古道たる由縁だ。道は少し沢から離れて進む。右に白ペンキで台湾をかたどった大岩の広場に着く。板を渡したベンチもある。これは劉さんによるものだ。つい最近に塗り直したようで、劉永生の名前の下に2012年9月14日の日付が記されている。内厝から歩き始めて1時間半、ここで少しコーヒー休憩をとる。

三度目の沢越え
休憩後数分道を行くと、右に沢を越える道と左に少し登っていく道がある。木の幹に打ち付けてある道標によると、先で合流するということ。右にとり沢を越える。水量が多くないので飛び石を越えるが、大雨後の増水などの時は、左の道が良いだろう。沢を越え、右岸をいくとまた沢をこえ、先の左の道と合流する。ちょうど、二人の登山客が下りてきた。見たところ結構年配だが、装備や歩き方など山慣れしている。さらに数分の歩きで、もう一度沢を越える。越えた先は広場になっており、ここで右に北五指山への道を分岐する。ここにも石のペンキの道標がある。時刻は9時50分すぎ、内雙溪古道を鉄柵門の分岐から1時間ほど登ってきた。

草に埋もれた道脇の廃屋
古道の石段
分岐を右にとり、登り始める。この道はいままで歩いてきた内雙溪古道と比べると歩行者が少ないようだ。道の程度が違い、踏み跡に近い部分もある。登り始めてまもなく、右に石でできた大きな廃屋がある。中にはすでに大木が生え、廃棄されてかなりの年月が経っているようだ。この道も確かに古道である。山腹を登って行くと、苔むした石段も現れる。数分の登りのあと、道は山腹を横切っていくようになる。100mごとに石にペンキの路程が現れ、道が正しいことを確認できる。道標リボンが殆ど無いこの道では心強い助っ人だ。道は、登り詰めると右に内雙溪古道へ下る枝道を分岐、その後石梯嶺への道を左に、さらにもう一度右に道を分岐する。細い沢を超えると、左に石梯風櫃歩道への道が別れる。樹木がきれ、一度草原にでる。上から二人の登山者が下りてきた。また雑木林の中を行き、草が現れ赤土の滑りやすい道を登って行くと、草原になり視界がひらける。北五指山はすぐそこだ。

北五指山の草原を下る登山者
10時45分北五指山の基石に着いた。今日も独り占めの芝生頂上だ。二週間前に比べると、今日は少し空気が澄んでいるようで、七星山や紗帽山だけでなくその背後に観音山も見える。天気は快晴とは言えないが、時々陽がさしてくる。風が結構強く吹いている。半袖で登ってきたが、シャツを着ける。風を避けるため、草薮のかげで休憩し食事をする。休憩後、前回同様に杏林山の中腹部分で石梯風櫃歩道に出た。北五指山から直進し、頂山まで行く道もあるようだが、杏林山への道を取ったのは、石梯風櫃歩道の風櫃嘴側への残り半分の状況(二週間前は、杏林山から擎天崗へ歩いた)を確認することが目的だ。


休日の石梯風櫃歩道は、ハイカーが非常に多い。ほとんど手ぶらの軽装ハイカーも結構すれ違う。よく管理されている道で、好天のもとでは問題ない。合流点から少し右に行き、石畳山道左わきの、目立たない森に入っていく道をとる。杏林山頂上への道だ。牛も歩いているようで、かなり深く掘られた部分もあるが、登ってわずかで草原にでた。下を行くハイカーは入ってこないようで、また自分ひとりの草原となる。大尖山が近い。草原を登り、また少し樹木の登りを過ぎると、基石のある杏林山頂上(標高790m)だ。右に瑞泉古道入口と思われるところに、標識リボンがくくりつけられている。草原の頂上だが、それほど広くなく周囲は結構樹木があるので、七星山が見えるほかはそれほど展望がきかない。

杏林山頂上、七星山が見える、手前左が基石
登ってきた道を戻り、石梯風櫃歩道へ出る。ここからは、Aクラスの登山道歩きになる。右に牛が多く草を食んでいる、北五指山の山腹を見て下り小沢を超えると杉林に入る。初めてこの道を歩いた時は、その苔むした静かな杉林のたたずまいに感銘した。杉林の道は右に折れ、登って行くと10分ほどで抜け、また草原の道となる。ツツジの説明看板があるが、この右奥には北五指山から直進する道の入口がある。入口といっても、標識リボンが掛かっているだけだが。更に稜線道を行き12時5分に頂山(標高768m)についた。ここは三角点とベンチが設けられている、平たい頂上だ。ベンチで休憩する。右の奥の方に、リボンが掛かっている山道の入口がある。これは瑪番山を経て萬溪產業道路へ下りていく道だ。

杉林を抜けて頂山へ
頂山からは、森の中の山腹道を進む。十数分の歩きで、道は森を抜け草むらの中を進む。頂山南峰から登ってくる山道が、石畳道の右側にあるはずだが密集した草薮ではよくわからない。左側に萬里と五指山から東に伸びる山々が見えるようになる。道の両わきは眺めを遮る草が刈られている。青かった草は、少し黄色くなってきており、秋の到来を告げている。あと一、二ヶ月で枯れ草の草薮に変わる。道は、萬里側の山腹を山ひだに沿ってはっていく。歩くほどに、萬里富士坪の上にそびえる大尖山の全容がはっきりしてくる。草の道を歩くこと二十数分で峠の風櫃嘴へ下りが始まる。登ってくるハイカーと何人もすれ違う。こちらが道を譲って待っていても、一言もなく通り過ぎる人もいる。1時を少し回った頃、風櫃嘴についた。道路わきには多くの車が駐車している。

風櫃嘴への最後の部分は草の道、頂山方向を振返る、左奥に七星山が頭を出している
登山道わきに建てられているあずま屋で少し休憩をしたあと、聖人橋に向けて下る。風櫃嘴歩道の石段を下り、一旦舗装路に出たあと少し下ると、また歩道がある。歩道入口には移動式トイレも設けられている。歩道を下りきるとまた舗装路に合流し、天溪園生態教學中心を通り過ぎる。天溪一橋のたもとで男の子二人が釣りをしている。魚籠には小魚が数尾釣れている。1時57分、聖人橋を渡り至善路のバス停に着いた。数名がバスを待っている。待つこと数分で、小18番バスがやって来た。

萬里の谷を望む、右の山並みは五指山山系
今日の行程は、距離13.5km、所要時間は休憩を含めて6時間だ。出発点の内厝は標高が410数メートルと高いので、それほどの登りはなく、距離の割には全体として楽な山登りだった。それでも登攀高度累計は758mあった。好天の休日だったので、ハイカーがとても多かった。石梯風櫃歩道ですれ違った人数は少なくても50人はくだらないだろう。しかし、分岐に道標のない古道に入ると、そこは静かな山道の世界となる。北五指山上は自分一人、そこから向こうに見える石梯嶺の山肌にある草原をゆくハイカーが大勢見えた。それほど大きな差がある。

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