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2013-05-28

2013年5月25日 四腳亭から五分山へ、八分寮古道を瑞芳東和里へ下る

三爪子坑山から見る五分山、頂上のレーダから下る車道が見える(2013/5/2撮影)
五分山は平渓と瑞芳にまたがる、台湾北部の展望台と呼べる山だ。今回、2011年9月に登って以来の登山である。好天に恵まれた山頂から眺めると、前回は未知の山が多かったが、この1年半の山で判別できる山が随分と増えたことを実感する。前は平渓十分からであったが、瑞芳の四腳亭からの登りである。五分山からは気象レーダーへ続く車道を経て瑞平公路の峠へ下る。そこから最近ボランティアにより道の整備が行われた八分寮古道をへて、三爪子坑へ出たあと、瑞芳まで歩いた。
西の四脚亭から登り、東の瑞芳へ下る(マウスクリックで拡大)
五分山へ登った後、もう一度八分寮古道の峠へ登り越す
現在の新北市瑞芳区管轄区域は、かつて多くの炭鉱があった。瑞芳四腳亭も石炭が掘られ、近くでコークスにする作業も行われていた。このコークス窯(煤窯)などをつなぐ登山道が整備されている。粗坑口登山道などである。上東路産業道路をまたいで、そこから五分山西峰から伸びる枝尾根を登る。五分山の尾根上には、立派な石畳登山道が整備されている。五分山の頂上は、石畳登山道から離れた土の道を登る必要がある。往復したあと、また石畳登山道に戻り登山口からは、気象レーダーの登山車道をずっと下る。自転車ライダーが多く登ってくるこの道は、天気が良い時はとても広い範囲の眺めを提供してくれる。下り切り瑞平公道を左に曲り、萬善祠とあずま屋のある峠から、八分寮古道を辿る。

付近の登山軌跡
粗坑口の集落から見る五分山、レーダーが見える
八分寮古道は、踏跡程度の道で、五分山登山道とは随分差がある。下りきると八分寮頂山への道を左に分岐し、そのまま進むと石臼がのこる石廃屋に来る。ここには百年竹柏と呼ばれている松の大樹がある。炭鉱も近くにあったので、人が暮らしていたのだ。急な登り坂を登り返すと、三爪子坑山から八分寮山へ続く尾根上の峠にでる。今月初めは、尾根を歩いてここへやって来た。今日はちょうど横切る形で、そのまま峠を下る。三爪子坑の蛇子形産業道へ下り、さらにまた古道を経て、三爪子坑路106巷の産業道路を瑞芳東和里へ歩く。もともと1062番バスで台北へ帰るつもりであったが、九份で満員のバスばかりで乗れない。そのため、時間がかかったが台鉄の電車で台北へ帰った。

粗坑口登山道入口、左は滴水山步道へつながる
滴水山步道
滴水山步道わきの池
今日は朝から天気がよい。忠孝復興バス停7時10分発の1062番バスで出発する。休日の早朝は、道が空いている。8時少し前に四脚亭バス停に着く。すぐそばから粗坑口路が沢にそって登っていく。途上の高速道路からは、四分尾山や姜子寮山がよく見えたがその並びの五分山が頭に雲をかぶっていた。ここからも五分山方向が見えるが、頂上はまだ雲の中だ。十数分歩くと、集落を過ぎる。正面には球形レーダーが見えている、今日は天気の問題なしだ。集落からさらに十数分、8時20分に粗坑口歩道入口に着く。この道を登っても次の五分山への登山道へいけるが、少し遠回りになるので、そのまま直進し滴水山步道を登る。煤窯からの良い道と合流すると、土の山道となる。沢を越えて進む。古道の脇役、青苔の石段や壁の崩れた石造廃屋がある。作業小屋を過ぎ、涸れた沢を渡りその先に池がある。小屋も現れ、まもなく上東路産業道路に出る。8時50分、滴水山步道は30分の道のりだった。五分山への山道は、産業道路の反対側だ。先の粗坑口歩道もこの産業道路につながるので、ここへやって来ることになる。
上東路産業道路、対面が五分山登山道入口
十字路鞍部、右から登ってきた
五分山への登りが始まる。十数分登ると、十字路の鞍部だ。龍門山からの道が右から合流する。石の廃墟がある。少し休憩したあと、左に尾根上の道を進む。雑木林の間の道は、はっきりしている。落ち葉が雨で流されて、赤土が露出している。竹林になった後、また雑木林を進み、十字路分岐から約20分で、上東路の福安宮から登ってくる道と合流する。十分そこそこの登坂を登ると、杉林の隙間から遠くに気象レーダーの球形ドームが望める。それだけ高度が上がってきた。補助ロープがある坂道を二、三回繰り返し登り、10時10分過ぎ五分山西峰に着く。特に表示もなく、そのまま下る。前に石畳の立派な山道がある。前回にはなかった、立派な道標が建っている。道標には今やってきた道の方向は龍門山となっている。ただ、経験のないハイカーが歩くには、道整備が不足だろう。

雑木林の中を行く、赤土の山道
左が福安宮への道、五分山へは直進
杉林の中を登る
五分山登山道との分岐点、新しい道標がある
五分山歩道から、西峰方向を望む、右の尾根を登ってきた
道わきの草もきれいに刈られている。歩きやすい道を一度下り、登り返すと瞭望亭のあずま屋だ。天気が良いが、今日の風は北東風で涼しい。1年半ぶりの景観だ。前回も好天で、遠くまで見えた。今回も良い天気、緑の萬里長城と言われている、今歩いてきたここから西峰へ続く尾根道の右奥には台北市が見える。101ビルも判別できる。更に西を見れば、陽明山山系がどっしりと存在を示している。內湖の大崙頭山大崙尾山の向こうには觀音山も判る。平渓側は、遠くに獅公髻尾山、その手前には特徴ある中央尖峰頭尖が、谷の北側は薯榔尖石筍尖、それを右にたどると盟主の姜子寮山とその右奥は四分尾山だ。平溪の谷の向こう奥は皇帝殿山、その西側右奥は二格山猴山岳への稜線がある。北側は、陽明山山塊が金山へ落ちるあたりから、ずっと基隆山までの海岸線と内陸が広がっている。目を東側に移せば、雙溪とを隔てる山々、その遠くには草嶺古道から桃源谷への山並みと、その南北へ連なる峰々も判る。

瞭望亭、右に気象レーダーのある五分山頂上
緑の萬里長城、右に台北と陽明山山系が見える
平渓方向を望む、中央に中央尖、その右が峰頭尖、背後には獅公髻尾山
東方向を見る、雙溪とその先の宜蘭の山々
五分山頂上
食事をとり十数分休憩した後、10時50分に出発する。五分山の頂上は、登り返した石畳道から尾根を登っていく土の道を辿る。この分岐にも新しい道標が建っている。ほんの二、三分で三角点のある五分山(標高757m)頂上だ。周囲は身の丈ほどの草がびっしり茂っているので、大きいレーダードームが目立つ以外、景色は望めない。ここからドーム方向に草の間をくぐり下ると、道が分岐する。先に左側をとっていくと、草がきれてレーダー関連設備に出る。これを下ってみるが、しっかり鉄の門があり、出られない。分岐へ戻り少し下るが、これは光孝祠へ下っていく山道のようだ。気象レーダー車道へ行けるかわからないので、今きた道を石畳登山道へ戻る。登山道は、ほどなく車道の入口に着いて終わりとなった。

車道脇の五分山登山道入口
一般的に車道を歩くのは車に排気ガスを浴びさせられ、面白いものではない。ここは、全く異なる。車はとても少なく、自転車ライダーの方がはるかに多い。草原を下っていく道は、遮るものの無い広大な展望を提供してくれる。特に今日のように、涼しい風が吹いている晴天のもと、気持ちの良いことこの上ない。陽射しは強く、陽に焼けるがこの眺めは、代えがたい。瞭望亭からは望めない、北側の基隆や瑞芳が眼下に広がる。三爪子坑山や、その向こうには半平山,茶壺山燦光寮山草山が控えている。こちら側の展望をいれれば、360度の展望となり、五分山はまさに展望台の山だ。つづら折りの道を、自転車が懸命に登ってくる。上までたどり着いた自転車は、軽快に下っていく。ここは、ライダーにとってはとても良いコースだろう。

北方向を望む、つづら折りの道の向こうに広大な風景が広がる
レーダー車道を登るライダー、その向こうに基隆方向が広がる
三爪子坑山がだいぶ近くなってきた、背後は基隆山と、半平山や燦光寮山など九份、金瓜石の山々
瑞平公路の峠部分、あずま屋と萬善祠
数キロの下り道を進む。段々高度が下がってきて、対岸の三爪子坑山などが相対的に高くなる。106号線瑞平公路に合流し、左に曲がる。少し登り返し瑞芳平渓の境界にある平渓のモニュメントを過ぎてまもなく、峠に着く。時刻は12時8分、1時間の車道歩きであった。萬善祠とそのわきにあずま屋がある。萬善祠の裏手から三爪子坑山からの尾根道が始まっている。あずま屋に入り、休憩する。ここからは、三爪子坑山から萬壽山へ伸びる尾根が近い。峠には846番のバス停があるが、早朝と夕方の便だけで山登りには使えない。

八粉寮古道、沢を超える
八分寮古道は、瑞芳に少し下がったガードレールわきからスタートする。新しい藍天隊の道標が無ければ、気づかないだろう。草薮に入り込み下っていく。僅かな踏み跡だけで、標識リボンがなければ山道とはわからない。数分谷に沿って下っていくと、山腹を進むようになる。ここまで来ると、以前は古道であった面影がある。また谷沿いに下って行き、古道に入ってから約30分で、沢を越す。水がわずかに流れ、周囲は蝉と鳥の鳴き声だけだ。山林投がズタズタに切られてて道が切り開かれている。今年初めに行ったと聞く、藍天隊の整備作業で歩けるようになっている。これがなければ進むことが困難だ。視界が開けて、八分寮山方向の稜線が望める。廃坑の入口を過ぎる。入口はほとんど埋まっている。沢を超え、少し登り返すと八分寮頂山への分岐を過ぎる。その先は平らになる。細い樹木の雑木林になっているが、以前は切り開かれた広場だったようだ。石臼とそのすぐわきに崩れた廃屋がある。近くには百年竹柏と名付けられた太い一本松がある。周囲は石が置いてあり、ちょうどベンチになっている。以前は住人たちが、この樹下で世間話をしていたことが、偲ばれる。13時10分、古道を下ること1時間、石に腰をおろし休憩する。

切り開かれた山投林の道、向こうは八分寮山の尾根
廃坑入口
石臼と廃屋
百年竹柏
ここから道は峠に向けて高度差百数十メートルを登り始める。沢を越えた後、しばらくは山腹を行くが、そのうちに尾根に取り付き急角度で高度を上げていく。すでに十数キロ歩いているので、この急坂はさすがにキツイ。13時42分、約30分の登りで峠に着く。ここは、今月初めに尾根縦走で訪れたところだ。少し休憩した後、三爪子坑の谷に向けて下る。こちらの勾配は先の登りに比べると緩い。道の状態もわずかに良い。谷沿いの道は、古道の雰囲気がある。十数分下ってくると、広い土の道にでた。左の道はどこへ行くのか、不明だ。右に折れて進み、草薮を抜けると舗装した蛇子形産業道路の末端に踊り出る。緩い下りを進むと、左の森に山道が入っていく。入口の部分には、炭で造った仏さんが祀られている。とても珍しい。産業道路をそのまま行けば、右に三爪子坑山への登山口がある。さらに進めば蛇子崙山からの尾根を峠で超える。

峠部分
古道入口の炭の仏さん
山道は、苔の石階段などがある古道である。八分寮古道に比べればずっと歩かれている感じだ。竹林が現れ、ほどなく人家につく。三爪子坑路106巷の最奥の人家だ。犬が吠える。子供もいる。この山の中で生活を営んでいる。人家から舗装路が始まる。道を下ると、視界がひらけ谷あいから左に八分寮山、右に蛇子崙山の尾根筋が見える。その少し先に沢が流れている。沢の水で顔を洗い、汚れた靴や登山ステッキをきれいにする。ズボンも下半分を取り去り、スッキリする。残りは、気楽に舗装路を下るだけだ。右に蛇子崙山への道を分けしばらく歩くと、鶏やアヒルが放し飼いにされている農場のわきを行く。振り返れば三爪子坑山がかなり高く見える。30分ほど下ってくると、一度峠へ登り返し、そのすぐ下から住宅地が始まる。大きな瑞慈宮を左に見て下り、15時3分に三爪子坑路に出た。左に折れ進み、15時12分東和里バス停に着いた。10分ほど待っていると、1062番バスがやって来た。ところが、満員で乗車できない(高速道路経由のため、立席は不可)。休日は金瓜石や九份からの観光客が多く、途中乗車は難しいようだ。瑞芳駅まで行けば乗れるかと思い、駅前のバス乗場にいったが、やって来たバスは満員で通過するだけ。バスは諦めて、台鉄の区間電車で台北へ帰った。

三爪子坑路106巷の産業道路から見る三爪子坑山
今回は少し長い16.4kmの行程だった。所要時間約7時間20分だ。途中の三分の一は舗装路の車道だったので、距離の割には時間が少ない。累計で1066mの高度を登っている。近々、大勢の人を連れて八分寮古道などを歩く予定なので、その下見も含めての行程だった。五分山だけであったら、ちょうどよいハイキングコースである。

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