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2013-10-15

2013年10月13日 姜子寮古道-姜子寮山-中窯尖縦走 汐止から平溪へ山越え

姜子寮山(中央尖から、2012年3月撮影)、麓は平渓の集落
昔歩かれていた道が、交通の発展で忘れさられ自然に帰っていくことは、各地にある。そうした道の中の幾つかは、登山者がその跡を歩き、再び道として生き返っている。今回歩いた姜子寮古道は、汐止の姜子寮と平渓を峠を越して行く道であるが、汐平公路が開通すると、忘れさられ草に埋もれた。最近、この道が登山者に歩き始められている。ただし、かなりの長期に渡って放置されたようで、石段やその他の様子はまだまだ自然に近い状態だ。

西の姜子寮から稜線へ、そして南の嶺腳へ山越え
平渓側のほうが高度が高い
今回は汐止駅から出発、新北市F905番無料コミュニティバスで姜子寮路の入口へ向かう。先に姜子寮古道を経て、今は汐平公路の峠部分となっている磐石嶺から姜子寮山へ続く分水嶺主稜線に登り、稜線上の道を姜子寮山へ、更に中窯尖へと縦走した。中窯尖からは南に支稜を下り、滴水觀音で知られる靈巖禪寺へと下った。その後、靈巖禪寺第二步道から台車道へ下り、そのまま嶺腳駅へと歩いた。嶺腳からは795番バスで木柵へ戻ることもできるが、汽車がすぐやって来るので、鉄道で台北へ帰った。

姜子寮山、中窯尖の登山軌跡
出発点の姜子寮路口バス停
10月も中旬に入り、秋の気配がだいぶ濃くなってきた。今回は、WさんとHさんが同行、都合三名パーティでの行動だ。汐止駅を7時5分発のF905バスで出発。このバスは汐平公路を峠を越えて平渓まで往復している。幾つかの便は、途中で分岐し姜子寮へ往復するが、7時5分発のバスは立ち寄らないので、姜子寮路入口バス停で下車する。15分で着いた。もともとこの道は民間バスが走っていたが、採算上の理由で今はない。社区バス停のすぐわきに石門橋という、民間バス停留所の鉄管標識がまだ残っている。

福興宮、なぜソファが置いてあるかは不明
バス停車場所は、姜子寮路入口から少し先に行ったところなので、戻って右に折れ姜子寮路を進む。少し下って橋を渡り、登りが始まる。沢沿いの道は土地公のわきを過ぎると、道幅が広く拡張されている。20分間で約2kmほど歩き、福興宮のある姜子寮路の終點部分に来る。ここは、これから歩く姜子寮古道以外に、旗尾崙を経て姜子寮山へと続く山道、姜子寮絶壁への道へと分岐する。姜子寮古道へは、右に橋を渡り、たもとにある小吃店から沢わきに降り、防砂堤防に向かって沢沿いに歩く。歩いてまもなく右側に標識リボンがかかっている、小道の入口がある。ここが古道の入口だ。

天峰谷渡假村のパオ、バンガローとして使われているようだ
道は、すぐにジグザグに山腹を登り始める。緑に苔むした石段が現れる。古道の様子だ。10分ほどで、天峰谷キャンピング村の下部に着く。舗装路にそって、登っていく。石積廃屋やモンゴルのパオが並んでいる場所を過ぎる。二、三十名の若者たちの活動が進行中だ。パオを過ぎると、キャンピング村の汐平公路側の入口になる。姜子寮古道は、この入口のずっと左側だ。沢の古道入口からキャンピング村までは、そこそこ歩かれているようだが、この上の部分はずっと自然に近い状態である。おそらく、これから上の部分が最近歩かれるようになった部分だろう。

姜子寮古道、石の板が小沢の橋となっている
汐平公路への分岐部、道標が新しい
草深い道を登っていく。苔の石段が続く。小沢を石の橋で渡る。まさに古道たる様子だ。以前は棚田であったと思われる石垣もある。キャンピング村から約15分ほど歩く。分岐があり、右に進めば汐止公路へと続く。左には草の中に細々とした古道が続く。幹に取り付けられている藍天隊の道標は、今年5月の日付でまだ新しい。山腹を行く道は、沢をこえて行く。上の方から自動車やバイクの走る音が聞こえる。この辺りは汐平公路と並行している。その先は道幅も広くなり、古道の様子だ。ただ、草深いことには変わりがない。群生している野薑花の白い花がたくさん咲いている。雑木林の中をゆき、8時45分、すこし開けた場所で小休憩する。蛭がズボンの裾について動いている。塩をかけると、たちまち体を巻いて縮んでしまった。

廃棄産業道路を歩く、向こうは旗尾崙の尾根
稜線鞍部へ向け登る、踏跡はあまりはっきりしない
稜線の鞍部分岐部
更に5分ほど歩くと、廃棄された産業道路にでる。左にとり産業道路を進む。まもなく右に土の産業道路が分岐していく。道標はないが、これが古道へと続く道だ。正面には、旗尾崙の尾根筋が見える。途中水が流れている部分を二ヶ所越え、ほぼ平な道を進む。10分ほどで、また古道の分岐に来る。産業道路をそのまま進むと、旗尾崙からの尾根に辿り着き、そこから登山道を姜子寮山頂上へ歩くこともできる。分岐を右にとり、細い山道を登る。草の覆いかぶさる部分や、緑の苔がびっしり生えている石段などを通り過ぎて行く。石を積み上げた低い塀が現れると、峠部分はすぐだ。9時40分、稜線の分岐にたどり着く。

正面に姜子寮山頂上の展望だが望める、ススキの穂が出始めた
姜子寮山頂上の三角点基石
稜線は右に下れば、石硿大崙を越えて磐石嶺へと続く。小休憩後、左へ尾根を登る。ほどなく、雑木林からでて草むらの道となる。幸いにそこそこ歩かれているようで、草が邪魔で藪漕ぎが必要なほどではない。陽明山山系の草原と同じで、ここは風が強く樹木が育ちにくい場所のようだ。正面には、姜子寮山頂上の展望台が見えている。ススキが穂を出し始めている。小ピークを二ヶ所ほど乗り越え、10時10分、頂上(標高729m)に着いた。今日の行程の最高地点だ。今日は曇りだが、展望は陽明山方向が霧の中であるのを除いてOKだ。石硿大崙のあたりに国旗がたなびいている。日本の山と渓谷社のWebサイトには、海外登山旅行として台北付近の代表的三山を登るコースがあるが、その三山、基隆山七星山、そして灣坑頭山はこの姜子寮山からすべて望める。もっとスッキリした天気だと、南方向に雪山山脈も望めるはずだ。しばらくすると、後ろを歩いていた多人数パーティーメンバーが頂上にやって来きて、頂上は賑やかになる。

頂上より姜子寮古道の峠から歩いてきた草原の道を望む
頂上から見る北側のパノラマ
南側のパノラマ
草の中の稜線道を進む
30分近くゆっくりと休憩したあと、稜線道を進む。北側は立派な姜子寮山歩道が下って行くが、稜線道は草深い道だ。頂上から数分歩くと、右に道が分岐する。ある登山パーティの標識リボンで道を塞いでいる。踏跡は、主稜線上のものと比べると少し細いようだ。あまり注意を払わなかったが、これが姜南山方向へ下る道の分岐だった。もともとは、姜南山方向へ下ることを予定していたが、そのまま稜線を行き中窯尖から嶺腳へ下るように変更する。この稜線もいずれは歩くつもりであった。急な下りが現れる。大石のわきを通り過ぎる。また登り返して大岩をぐるりと回っていく。主稜線道のこの部分は歩きにくいセクションだ。中窯尖への後半は、比較的上下高低差が少ないが、それでも稜線の縦走には登り下りはつきものだ。12時3分、滴水觀音からの道との分岐に着く。姜子寮山から約1時間半の歩きだ。中窯尖頂上(標高605m)は、そのほんのすぐ先だ。

稜線道の登り返し
稜線道の後半はなだらかな登り下りが続く
中窯尖頂上、リボンがたくさん架かっている
枝尾根を登り返す、背後に主稜線
12時半に中窯尖から下りはじめる。分岐にもどり左に枝尾根を下る。下りきると右に沢沿いに道が分岐する。分岐部の標識リボンは新しいので、この道もそれほど程度が悪くないかもしれない。登り返したあと、今度は左に道が分岐する。郷林農場、望古産業道路への分岐だ。ここから、岩の露出するヤセ尾根をしばらく進む。二ヶ所補助ロープの架かる岩場が現れる。登り切ったところからは、中窯尖や主稜線が望める。だいぶ降りてきたことがわかる。ピーク上から左に道が分岐する。道標はないが、郷林農場へ続く道だ。枝尾根はここから右方向に折れて進む。頂上から約1時間ほど下ってきたところで、急な下り坂の右に大きな岩が露出している。踏跡が続いているので登ると、絶好の展望台だ。姜子寮山から中窯尖への稜線、姜子寮山より姜南山を経て下っていく枝尾根などが、深い谷を挟んで望める。遠くには、薯榔尖,石筍尖、基隆河の谷を挟んで中央尖峰頭尖が見える。こうした、尖った峰々がたくさんあるのが平渓の山の特徴だ。

下り道の岩場から見る主稜線、姜子寮山を中央にパノラマが広がる
靈巖寺で貰ったパンフレット
更に岩の露出した部分もある道を半時間ほど下り、14時5分、靈巖禪寺についた。ここは、浅い洞窟の上から滴り落ちる水が、長い間をかけ鍾乳柱となった場所である。鍾乳柱が観音像に見立てられ、信仰の対象となっている滴水觀音だ。境内の前庭で休んで談笑していると、寺の人と思われる女性がやってきて、日本人かと尋ねられた。普段、このような場所へ日本人が観光にやってくることは無いので、不思議に思ったそうだ。毎年8月から10月頃まで、鹿子百合という稀少種の百合の花が咲くそうだ。この花の名付けは日本人で、日本との縁も深いと説明してくれた。滴水觀音には、もともと顔が彫られていたが、不心得者がこの首を持って行ってしまったそうだ。それからまた年月がたち、像の肩に当たる部分がだいぶ優しくなってきているとのこと。

苔に覆われた第二歩道と立派な橋


半時間ほどゆっくりと休憩し、最終目的地の嶺腳へ下る。今年五月に訪れた時は、第一歩道を登った。今回は第二歩道を下る。寺のすぐ下から道が始まるが、自動車でやってこれるので、この道を歩くのは、我々のような登山者ぐらいのものだろう。石段道は広くて立派だが、苔がびっしりと生えている。絨毯のように厚い苔は、逆にあまり滑らない。10分ほどで下りきり、台車道についた。のこりは、この舗装路を下っていくだけだ。民家を通り過ぎるとき、番犬四匹がけたたましく吠えかかる。鎖で繋がれているので、やってこれないが。靈巖禪寺から約30分、15時8分に嶺腳駅に着いた。795番のバスで帰ることも考えていたが、あと十数分で汽車がやってくるので、今回は平渓線で帰ることにする。駅前の雑貨屋でビールを買って、乾杯する。長い歩きの後、ビールはまた格別だ。

汐止から平渓へ山越えをしたことになるが、歩行距離は約12kmである。休憩込みの行動時間7時間55分、登り累計は973mである。姜子寮山から中窯尖への縦走路が意外に苦労だった。山道の程度はクラス4、体力要求もクラス4である。経験者向きのルートである。10月になり、山登りには暑くなく、絶好な季節がやって来た。

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