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2013-11-18

2013年11月17日 七星山 - 大屯山 - 面天山 陽明山黄金コースを縦走する

縦走してきた七星山(一番遠くの山)、大屯山(中央の山)と面天山を向天山から見る、右は大屯山西峰
陽明山国家公園は台北市からとても近い、それでいて台北市の最高地点である七星山を擁する自然公園だ。国家公園管理の登山道は、石畳が敷かれた最上の道で、道の状態対応にあまり力を取られず、単純に体力だけが歩行の必要条件である。今月下旬に玉山登山を控えているので、一緒に登る予定の仲間と一緒に体力訓練の目的で、また訪れた。昨年も同じく玉山登山の前に七星山を登っている。今回のルートは、単一ピークではなく、七星山を一番急な苗圃登山道から登ったあと、大屯山を越え、更に面天山を登るという、縦走である。陽明山バス停からのスタートなので、七星山の登攀高度は700mであるが、その後更に二つのピークを越えたので、その二倍以上になっている。訓練の目的は果たせた。

南東の陽明山バス停から、西の清天宮へ歩く
三座の縦走高度プロファイル
縦走の出発点人車文道の入口、多くの野良犬がいる
MRT劍潭駅に7時に集合し、紅5番バスで陽明山バス停に向かう。同行者はYさんとWさんの二人だ。休日の紅5番バスは、中國文化大学の学生にかわり登山者が中心だ。約30分の乗車で、標高約430mの陽明山バス停に到着する。支度を済ませ、陽金人車分道の入口へ向かう。人車分道とは、ある距離を置いて車道に並行した歩道で、車の往来に注意せず歩くことができる道だ。入口のトンネルを過ぎ、階段を上り詰める。すると、道は塞がれている。歩道の工事中が進行中だ。入口には特に表示もなく面食らう。工事のわきを進み、工事区間を過ぎる。石畳の道を進み、陽明山ビジターセンターを通り過ぎる。天候は回復し、朝陽の中でビジターセンターの後方に七星山がそびえている。

ビジターセンターの屋根越しに七星山がそびえる
苗圃登山口
人車分道をさらに少し行く。8時15分、苗圃登山步道の入口に着く。これから登りの始まりだ。登山客も多い。中にはかなりの年配者もいる。下りてくる登山者も多い。登山口から約20分ほどで、左に金露天宮への道が分岐する。踏跡レベルなので、経験者のみが歩く道だ。注意しないと分岐に気づかないだろう。更に20分ほどの登りで、冷水坑への分岐を過ぎる。左に取って進み、七星公園への分岐で休憩する。8時45分、登山口から約1.3km、30分の登りだ。このあとは、急坂が続くので備える。あずま屋の中の寒暖計は、13度を指している。今日は、今秋一番の寒さだそうだ。幸いなことに、この寒波は水分を含まず、気温は低いが天気は晴れだ。あずま屋で先に休んでいたおばあさんが、韓国語で挨拶してきた。韓国人グループと間違えたようだ。

七星公園への分岐、あずま屋の中の寒暖計は13度を示している
急坂の石段が続く
ここから坂は急になる。つづら折の急勾配がずっと続く。ひたすら登り、標高差約200mをかせぐ。すでに登頂を終えた登山者たちとすれ違う。中には上半身ハダカ、半ズボンに裸足の年配者も下りてくる。樹木の中から熊笹の中を進むようになると、登りもそろそろ終わりだ。強い風が吹いているのに気づく。全身汗をかいているが、この風は寒い。上着を着ける。七星山東峰への道の分岐を通り過ぎ、9時27分、主峰頂上(標高1120m)に着く。登山口から2.4km、約1時間10分の登攀である。

急坂が終わり、前方に七星山主峰が見えた。風が強い
七星山頂上:これから歩く大屯山が、その左方に面天山が望める
小油坑への下り坂
好天下の頂上は、大勢の登山客が来ている。主峰のポストわきで記念写真を取るには、待たなければならない。今日の最終目的地である面天山が、大きな山容の大屯山の左肩に見えている。かなり遠くだ。先も長いし、風も強いので写真を写したあと、小油坑へ向けて下り始める。熊笹の中へ続く凱達格蘭遺跡への道や、南峰への道の分岐を過ぎる。今回は、国家公園の道だけを歩く予定だ。中腹にある展望台に少し立ち寄る。今日は、晴れているが遠くのほうはもうひとつ霞んでいる。竹子湖や、その先北投の市街もあまり、はっきり見えない。

小油坑への下り道、硫黄の吹出し口を通り過ぎる。前方は小観音山
こちら側の登山道も登山者が多い。サンダル履きで登る人もいる。天気のよいなか、良好な登山道であれば別に問題はない。硫黄の吹き出し口わきを下り、小観音山の手前に小油坑の駐車場が見えてくる。10時19分、駐車場わきにたどり着く。小油坑ビジターセンターの前で、少し休憩し、腹ごしらえをする。ここも大勢の遊楽客で賑わっている。

小油坑から七星山山頂を見上げる、手前の温度表示は13度
人車分道工事施工中の部分、中央の木製橋に注意
去年ほぼ同じ位置から写した人車分道の橋
熊笹の中の道を行き、少し下って陽金公路わきの駐車場へ降りる。人車分道が左に下って行くが、ここからは車道を歩く。右に百拉卡公路が分岐し、そのすぐ先に百拉卡人車文道入口がある。ここは昨年三月歩いた以来だ。入口には黄色のテープが通行止めのように引いてあるが、何の説明もない。そこでそのまま道を進んでみる。すると、倒木や落石などが道にあり、整備がされていない様子だ。特に大きな障害もないので、そのまま進む。数分歩いてくると、前方の木製橋の上方に鉄骨の簡易橋がかかっていて、道は塞がれ途切れている。ここは、土砂崩れでもしてその復旧工事中なのだろうか。工事のわきを進めそうなので、強引に行ってみる。ぬかったりしているが、なんとか通り過ぎ上の車道にでた。そこは、ちょうど展望台部分だ。もともと道の手すりだった鉄パイプやロープが工事用の土砂に押しつぶされている。反対側から歩いてくれば、様子がわかりここを下ることはないだろうが、先ほどの歩道入口に何の案内も無いのは不親切だ。国家公園管理下の道としては、随分お粗末な状態だと思う。少なくとも、工事が施工中であり、車道を迂回すべきというような説明板があってしかるべきだ。

展望台-竹子湖分岐間の人車分道上の倒木
車道に並行する展望台から先は、人車分道がまた続く。ここは歩行者が少ないせいだろうが、石畳には苔が多い。倒木が道を塞いでる。これも整備状態が悪い。どうせ歩く人が少ないと、たかをくくっているのだろうか。左に竹子湖へくだる道の分岐を過ぎる。ここから先は、今年六月に歩いたところだ。歩行者もある程度あるようで、それまでの人車分道に比べると整備度はよい。11時17分、鞍部気象測候所前に着く。少しハプニングもあったが、約30分の人車分道歩きである。その少し先の大屯山登山口のベンチで少し休憩する。

小観音山を背後に大屯山へ一直線の山道を登る
大屯山観測所の石碑
標高1092mの大屯山へは、標高差約270mである。熊笹の中の道が約400mほど続き、それが切れてススキの中の道となる。展望が開けてくる。ここからは一直線に登る山道だ。登山口から十数分登る。右に車道が近づき、あずま屋がある。振り返れば対岸に小觀音山がある。過去二度訪れているが、いずれも霧や雨で展望がなかった。いずれ天気の良い時に行き、小觀音山から大屯山を眺めてみたいものだ。子ども連れの遊楽客を追い越し、さらに登っていく。また熊笹の中の道が続き、それが終わり11時51分、大屯山観測所という石碑が埋められている峠部に着く。ここも風が強く吹き抜けていく。

ススキの大屯山から面天山を望む
大屯山を下る
軍事施設のわきを行く道を進み、車道に降りる。その先展望台が現れる。百拉卡公路から上がってくる車道があるので、ここは車でやってくる遊楽客が多い。車道終點の展望台には、大勢の遊楽客が大声で談笑し場違いの感じだ。大屯山は、この時期ススキに覆われてすっかり秋の様相だ。目的地面天山が近くなってきたが、まだまだ距離がある。早々に大屯坪に向けて道を下る。急坂が続く。同行のWさんは左膝が不調のようだ。10分ほど下ったベンチのところで、休憩し昼食を取る。風も当たらず、ひなたなので快適な休憩場所だ。



ススキの間から大屯山を見上げる
腹ごしらえがすみ、また続けて下る。草の中から森に入ると、左に大屯山南峰への道が分岐する。陽明山山系縦走ということであれば、南峰や西峰を経ていくべきなのだろうが、今回は良い道で体力訓練というのが、目的なので南峰へはいかずそのまま下っていく。大屯坪のあずま屋を過ぎると、道は平坦になる。右を見上げると大屯山が高い。両わきのススキの穂が青空に眩しい。左に西峰と南峰の分岐への道を分け、道は少し登りになる。峠を越えて真っ直ぐな下り坂を行く。13時10分、大屯山の展望台から約1時間で二子坪へやってきた。ここも大勢の遊楽客が思い思いにくつろいでいる。谷間から見える面天山はだいぶ近づいた。

二子坪、池には蓮の花。背後は大屯山
二子坪から面天山を望む、だいぶ近づいた
Wさんは、下りの時に左ひざが痛いという。大事を取って、ここで中断することにした。二子坪歩道を行き、大屯公園のバス停からバスで下山するので、ここで別れる。Yさんと二人で面天山を目指す。ここから道は二つある。ひとつは、幅の広い道、もう一つが石畳の登山道である。いずれも先で合流するので、どちらを行っても面天山登山口に着く。先に幅広道を下り、途中でクロスするところから登山道を歩く。沢を新設の橋で越え、登り返してもう一つの道と合流し、その先少しで登山口に来る。13時35分、今日の最後の登りが始まる。

面天山登山口への登山道、多人数パーティとすれ違う
面天山登山道は、等高線の混んだ高度差100数十メートルの山腹をツヅラ折で登っていく。十数分で森を抜け、草の道になる。背後に大屯山や西峰が見えるようになる。13時55分、大きな電波反射板が現れ面天山頂上(標高979m)に到着する。今日の目的地だ。のこりは、清天宮へ下るだけだ。展望台に上がる。二つの反射板の間に、七星山が遠くに望める。目を北側に向けると、麓の淡水や三芝方向の斜面が広がっている。残念なことに、ここでも遠くはぼんやりして海ははっきりしない。西側には天元宮から登ってくる山子頂古道のある尾根が向天池山へと続いている。北東側は、枕頭山や菜公坑山が望める。

大きな反射板の据え付けられた面天山頂上
面天山頂上から金山方向を望む。右に枕頭山や菜公坑山、小觀音山西峰が望める
下りは、向天山を経ていく。一度下り、また登り返す。草原の斜面からは、今日歩いた七星山、大屯山、そしてすぐ近くに面天山の三座がすべて見える。朝、七星山から望んだ面天山は遠かったが、今は七星山が遠くにある。向天山から向天池へ下る。台風の後など水があったようだが、今はまた乾いて池には水はない。二子坪辺りからやってくる遊楽客もいるようで、そこここでくつろいでいる。周囲を山に囲まれ、風は吹いていない。

水のない向天池、背後は向天池山
文字が削り取られた太子碑
清天宮へは、左へ道を取る。山腹をトラバースしていき、15分ほどで面天坪への道の分岐に来る。右にとり先には、昭和天皇がまだ皇太子の1923年に、台湾を訪問した記念の太子碑がある。残念なことに、戦後文字は削り取られて判読できない。分岐から10分足らずで、右に清天宮へ左に面天坪への分岐に来る。右に清天宮へ下る。この道も多く歩かれているようで、状態はよい。だいぶ下がってくると、近くの畑で採れた野菜などを道端で販売している。15時27分、登山口に降り立つ。面天山から約1時間20分の下りである。清天宮に着いて、まもなく小6バスがやって来た。20分ほどの乗車で、MRT北投駅に到着した。




縦走終點、清天宮登山口
百拉卡人車分道はほぼ平な道だが、それを除くとすべて山道の合計約16kmの道のりであった。主要三座の登攀で累計は1480mである。休憩を含む行動時間は約7時間50分で、平均時速は2kmとなる。山道の速度としては、良い線だ。もちろんクラス1の登山路であることも関係している。今回の同行者は、若く運動もしているので、筆者も全力で歩いた。疲れることは疲れたが、幸い筋肉痛などはない。今回歩いた陽明山国家公園管理下の道は、百拉卡人車分道を除いて、とてもよい道である。クラス1だ。ただし、このようなルートを一日で歩くことは、普段運動していない人にはお薦めしない。一日で歩く場合は、体力要求度は4である。

2 件のコメント:

  1. 曽根さん、いつも山登り記録ありがとうございます。とても参考になりました。
    今月、玉山にいかれのですか。いつでしょうか。日程さえ合えばぜひいきたいですが、申し込みはまだ大丈夫でしょうか。

    キュウ

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  2. ニッキーさん、今回の玉山は今週末23日に行きます。今年は、排雲山荘がオープンしましたが、希望者が多く抽選になります。我々も何回かのトライのあとの、あたりました。以前、参加されるかどうかお尋ねしたFaceboo上のTaipei Hiker Clubで参加を募り、結局自分も含めて5名が行きます。
    良かったら、Taipei Hiker Clubに参加されませんか。毎週、山行活動の募集お知らせしています。

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