このブログを検索:山名などキーワードを入れてください

2014-04-16

2014年4月13日 東北角鼻頭山稜 - 苦命嶺 - 和美山縱走 海の展望道

鼻頭山稜道から鼻頭山方向を望む
一昨年11月に歩いた龍洞岬から和美山へ登る草原の稜線道は、最近「黄金十稜」の第十稜として人気がある。先月歩いた基隆山東峰から主峰は第一稜であり、この間に八つの稜線が選ばれている。台湾の最北東端になる鼻頭山から南雅山へ延びる稜線道は、かなり以前に切り開かれていたが、その後はほとんど歩かれず自然の状態に戻っていた。数ヶ月前、藍天隊がまたこの地域に入り、草や樹木の除去や道標の整備などを行った。それにより、この近在の稜線道が注目されており、人気ルートになっている。稜線中の最高点は南雅山で標高270mにすぎないが、海岸から立ち上がっているので、立派な山容である。冬の季節風にさらされる山肌は、灌木もあまりなく、草原からは海が望める。

北側はの鼻頭角から歩き始め、龍洞へ下る
南雅山は、その中間に苦苓嶺のピークを要した苦命嶺の支稜上にある。この枝尾根をたどり、苦命嶺へ登る。その後和美山からの主稜線をたどり、和美山を登った後は蚊子坑古道をを下って龍洞の海岸へ出た。蚊子坑古道は、和美山の緩い斜面を通り過ぎて行く。ここには以前集落があったようだ。家屋の遺跡は無いが、石臼や当時の墓、また棚田のあとと思える場所を通過していく。

海を背後に登り始める
今回は、いつも一緒に登ることの多いLさんとKさん以外に、慢集団の活動で知り合った四名が同行し、都合7名の比較的大人数パーティで登る。7時半過ぎ基隆駅から791番バスで鼻頭角バス停に向かう。8時少し過ぎに到着、ここで自家用車で別途来ていた四名と合流する。鼻頭角には、鼻頭山があり、海岸に向けて歩道がある。今回は、歩道入り口から歩きはじめ、鼻頭小学校の少し先にある墓地の階段を登る。鼻頭山稜道は、墓地の一番奥の海が見えるところから右に始まる。山道といっても、草の中に道が伸びているだけだ。

龍洞灣の向こうに和美山
山林投の間を行く
今日は、とても天気が良い。左下に龍洞湾が広がり、その上には本日最終ピークの和美山、稜線を右に追っていくと三角ピークの苦命嶺が一目瞭然である。その右奥には丸い草山がのぞいている。道両わきは高い草だが、けっこう歩かれているようで踏跡はしっかりしている。緩やかなピークを越し次第に高度を上げていく。登山口から20分ほどで、灌木が現れその中を進む。山林投がうねった幹を地面にはわしているが、藍天隊によって見事に切り除かれ道ができている。もし、そのままであれば、通過は大変だ。灌木帯を抜けてまた草原へ、草原からまた灌木の中へと進んでいく。草原部分からは、左に海とこれから歩く稜線がはっきり見える。振り返れば、鼻頭山がけっこう遠くになっている。山道を歩き始めて40数分、灌木の中で少し休憩する。南雅山へのおよそ半分ぐらいの場所だ。

稜線上から和美山、苦命嶺、草山の山並みを望む、左に龍洞灣が見える
南雅山を望む、その奥には草山と半平山、手前の尾根に奇岩
稜線から見る岩の大洞窟
この先から、稜線はかなりの登り下りが現れる。急坂を下って登り返す。登り返したピークから、行く先の南雅山、その背後に草山から半平山が望めるようになる。南雅山から、途中に苦苓嶺のコブを越え苦命嶺へ尾根が続いているのが見える。南雅山のひとつ手前のピークから右に延びる枝尾根には、途中が切れた岩が露出していて目立つ。また急な下りを過ぎ登り返しになる。右に大きな岩の洞窟が見える。気温が上がってきて、続く上り下りは辛い。10時16分、右に信義橋へ下る急坂が分岐する。その少し先で、右に南雅山の頂上へ道が別れる。10時25分、南雅山山頂(標高270m)についた。樹木に囲まれているが、北側の木の切れ目から海が望める。少し休憩する。

黄金八稜線とその奥に半平山、基隆山、そして南子吝山
南雅山を背後に草原を苦苓嶺へ登る
苦苓嶺山頂
休憩後下り始める。鞍部から石梯坑溪の谷を挟んで石梯坑の稜線がある。この稜線は、最近山道が切り開かれ、黄金八稜とされている。その向こうには半平山と基隆山がのぞいている。南子吝山の麓には、南雅の集落も見えている。登りがはじまる。最後に草の中の道を過ぎると、苦苓嶺(標高294m)の頂上だ。狭い頂上で基石はない。周囲も樹木に囲まれている。数分の下り道で、左に龍洞坑古道を分ける。この道は龍洞から沢沿いに登ってくる峠道である。前方から話し声が聞こえてくる。少しすすむと、右に石梯坑へ下る道を分ける。その道を大人数のパーティーが登ってきている。我々は、ここから苦命嶺へ向けて枝尾根を登り始める。時刻は11時25分、南雅山から約50分である。

苦命嶺へはあと僅かだ
苦命嶺山頂へは、約200m弱の高度差だ。分岐を過ぎると登りが始まる。この周辺の雑木は、けっこう高さがある。板状の根を張って、しっかり大地に立っている。数分登った後、緩やかな道が続く。次の登りが始まる前で、小休止する。尾根を越えていく風が涼しい。その後も、登り一本調子で続く。細い尾根を歩くようになる。石が露出して、ロープを頼りに登る箇所が現れる。灌木が低くなり、12時13分に主稜線道と合流する。苦命嶺山頂(標高428m)へは、右にあと僅かだ。一度下り、登り返して12時18分到着した。基石のある頂上は、とても広い。ここも風が吹き抜けていき、気持ちが良い。二度目の登頂だが、前回単独行と異なり今日は賑やかである。

基石がある苦命嶺の頂上
和美山への主稜線を歩く
疲れを見せているメンバーもいる。半時間ほど食事休憩をして、和美山へ向けて歩き始める。先ほどの分岐から、道は急坂になる。こちらも痩せた尾根の下りだ。灌木も低く、木々の間から谷を挟んで朝歩いた鼻頭山稜が覗ける。下りきった鞍部からは、緩い登りが続く。このあたりの道は、多くある歩かれるようになったので、前回より踏跡がはっきりしている。鞍部の少し先に右に北勢坑へ下る道があるが、ほとんど歩かれていない。かなり以前に取れつけられたトタン製の道標は幹に取り込まれてしまっている。この道標には、北勢坑方向は記されていないが。上り気味の道を進み、山腹を少しまくようになった後、急坂を下る。鞍部は、左に蚊子坑古道への道が分岐するが、この部分もほとんど歩かれていないようだ。時刻は13時半、少し休憩する。

蚊子坑古道分岐
和美山へは数十メートルの高度差を登る。本日最後の登りである。十数分歩き、左に蚊子坑古道への分岐をすぎ、13時50分和美山頂上(標高355m)につく。前回は、草の中の頂上だったが、今回は大きく刈り取られ広々としている。龍洞灣が眼下に望め、その左に今日の歩き始めの鼻頭角がある。ぐるっと、一回りしてきたわけだ。天気が少し下り坂で、遠くはすこしぼんやりしている。

草が刈られ広々とした和美山頂上、三角点が植わっている
頂上から龍洞灣を望む
対岸に午前中に歩いた鼻頭山稜の峰々が続く、下り坂途中から望む
美和池
14時下り始める。分岐からの道は、すぐ枝尾根上を行く。一度登り返し下っていく。一度草原にでるが、ここからは午前中に歩いた鼻頭山稜の全体が望める。次のピークの前で左に山腹を下り始める。急な下りを過ぎると、道はゆるやかな斜面になる。細い灌木が生えており、下草もなくどこを歩いてもいけそうだ。斜面には段々ができている。その昔段々畑になっていたのだろう。今は木が生えており、畑のようには見えないが、この状態は人工のものである。石を積んだ低い壁も現れる。14時35分、和美池に来る。ちょっとしたくぼみで、水量は少ないが人が住んでいた頃は、用水として利用されたのだろう。

段々畑の跡と思われる
更にくだると、石垣や石を利用した水槽のようなもの、多くの空瓶が道端にある。石臼もある。ここは以前人が暮らしていたことの証拠だ。道は巾も広がり、古道の雰囲気だ。ただ、ここは他の古道でみるような石積家屋の遺跡はない。細い水流の沢のくぼみを越して進む。その先には、また住居あとと思われる場所がある。石の水槽や石臼がころがっている。近くにある墓には、壬寅の文字が読める。これは西暦では1902年かその前60年ということだろうが(1962年はありえない)、近くにある古道の土地公には大正という年号があるので、これも1902年の物というところではないか。すでに百年以上が過ぎている。

石の水槽や臼がのこる住居跡
土地公のある龍洞坑古道への分岐部
15時7分、土地公の祠がある分岐にくる。左に行けば龍洞坑古道につながる。右にとって、下っていく。一度沢を越し、登り返すと遠くから自動車の音が聞こえてくる。濱海公路も近い。15時25分、突然眼前が開け、真下の人家の向こうに海が見える。人家のシェパード犬が我々の気配を感じて吠えてくる。鎖に繋がれていないので、こちらまでやってきた。民家から濱海公路に降りる。左にバス停が見えている。振り返れば、背後の山が高い。15時30分、バス停に到着し今日の歩きを終えた。半時間ほど待ち、福隆15時40分発の791番バスで帰途についた。

海が見えた!
行動時間約7時間20分、距離は約9kmである。稜線上での登り下りがけっこうあったので、山の標高以上に登っている。今回は、人数も多めだったので、速度は少し低めである。人数が多くなると、難所では通過に時間を要する。最近は、登山人口が多くなっているのを感じる。それに伴い、新しい道が開かれたり以前の不人気ルートが見直されたり、と選択肢が増えることは良いことだ。いまのところ、登山マナーを逸脱する登山者にも出会っていない。今回のルートは、夏は直射日光のもとで辛いが、それを外せば海が見えるとてもよいルートである。
バス停から望む龍洞灣と和美山

0 件のコメント:

コメントを投稿