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2014-11-04

2014年11月1日 三峽熊空組合山-樂佩山(ロツペ山) 原生ブナの生える山

主稜線上からみる樂佩山
新北市の三峡区と烏來区を分ける插天山脈は、台北から最も近い1000m超の中級山である。この山脈は、今までに逐鹿山卡保山を登った。その次として今回は樂佩山(日本時代はロッペ山と呼ばれた)を組合山経由で登った。卡保山山頂付近でも見たが、稜線近くには原生のブナ(山毛櫸)がはえている。正確には、日本のブナとは少し違う現地種で氷河時代からの生き残りということだ。日本時代の学者の名を冠して早田山毛櫸とも呼ばれる。日本では一般的なブナは、台湾では生息地が限られる。多くあるのは、昨年訪れた太平山と今回の插天山脈である。

西側の組合山を経由して登り、東側の登山道を下る
単一ピークの登山、右肩水平部分はも
熊空から登る場合は、樂佩山と卡保山との間ぐらいから派生する尾根上の道か滿月圓からの道がある。今回は、前者の尾根上にある組合山(南熊空山)に先に登り、そのまま尾根を登り樂佩山へ登頂、同じ道を途中まで下り、標高1300mぐらいの山腹を横切って行く木炭古道を経て、雲森瀑布へ下った。この下り道は、前回卡保山へ登った道でもある。木炭古道は、途中に炭焼窯跡があるので、そう呼ばれている。ただし、このような高い場所で炭を焼いたのは、あまり合点がいかない。木炭を焼いてもそれを麓に運ぶのには不便だからだ。樂佩山への尾根道わきでも人工の窯跡のような窪みがあった。これも炭焼窯跡なのだろうか。

三峡と烏來との境界になる插天山脈の三峡側から登り下る
農道を横切る、左に登っていく
今回は、台北からVさんの運転する車で向かう。メンバーはVさんとLSさんの都合三名だ。台北から一時間足らず、7時20分に熊空に到着する。バス停わきの駐車場に車を止め,準備をして7時半出発する。滿月圓へ続く道を進む。中興橋をわたってすぐ、左に登る道を取る。民家の前を通り過ぎる。ちょうどおばあさんがいて、道はこっちだと教えてくれる。民家わきからコンクリの農道が登っていく。すぐ先で、近道があるのでこれを登る。農道はつづら折りに行くが、近道が横切っていく。作業小屋わきを通り、畑の中を突っ切る。農道に合流しつづら折りに登っていく。降りてくる農夫と行き違い挨拶する。8時8分、登山口に着く。わきからススキの向こうに、青空のもと熊空山が見える。小休憩する。

ススキの向こうに熊空山が見える
杉林の中の山道
山道は踏跡がはっきりし、とてもよい状態だ。常に多くの人に歩かれていることが判る。樹相が雑木林から杉林に変わる。ところどころ急坂が現れる。杉林の中の道はとても歩きやすい。尾根上から右に山腹を斜めに登っていく。8時48分、ちょうどよく腰掛けられる倒木があるので休憩する。引き続き杉林の登りが続き、林相がまた変わる。9時に右から興農橋からの道を合わせる。そのすぐ上が組合山頂上(標高905m)だ。中央に三等三角点基石が埋められている。周囲は樹木で展望はない。出発してから約1時間半、標高差600mをカバーした。いいペースだ。休憩する。

組合山頂上、中央に三角点
逐鹿山-卡保山の主稜線が見える
組合山から先に少し下る。山腹を左に巻いて窪みから左の尾根に取り付く。30分ほどの歩きで尾根が細くなり、鞍部に向けて下り始める。左側に展望ができるところがある。少し登ると逐鹿山が望める。逐鹿山の手前にある枝尾根は、下りに取る予定の道がある尾根だろう。もう少し進んだ場所でも展望ができる。今度は逐鹿山から卡保山の主稜線が望めるが、朝陽の中にまだまだ高い。9時46分、鞍部十字路分岐に来る。左は雲森瀑布からの道、右は滿月圓からの道である。休憩する。

鞍部十字路、やってきた方向を見る
谷底を登る
組合山や滿月圓山は多く歩かれているようだが、その先主稜線に向けての部分は登山者が少なくなるようだ。踏跡が細くなる。涸沢の中を道は登っていく。登るにつれ谷は狭くなる。雨の日だと雨水がここに集まり流れて、難儀するだろう。10時20分、鞍部から30分ほどの場所で、道脇に人工の窪みのような物がある。鞍部から間もない場所にもそれらしい窪みがあったが、これらは炭焼窯跡なのだろうか。はっきりしない。10時33分、水場に来る。少し平なスペースがあり、テントも張れそうだ。

尾根に取り付きブナの下を登る
左の逐鹿山から卡保山の稜線を望む
木こしに樂佩山を望む
山腹を直線的に登っていく。10時47分、木炭古道との分岐に着く。標高は約1260mである。斜面は更に急になる。分岐から約10数分で枝尾根に取り付く。見上げると、上方に黄色い葉が太陽光の中に見える。ブナの木だ。11時10分、尾根の上部に着く。展望ができる。左に逐鹿山から卡保山の雄大な山容がある。山頂近くは黄色くなっている。ブナの黄葉だ。逐鹿山の左方向には、獅子頭山の大きな山容が遠くに見える。3年前初めて獅子頭山登った時、観獅坪から遠くに高い山々が並んでいた。今その場所に立っている。獅子頭山の先には、台北の街も見えている。右側は、これから登る樂佩山だ。ここから見ると高度差150mぐらいなので小山のようだ。秋晴れのもと少し風が涼く、実に快適だ。

左は卡保山、右は樂佩山への分岐部
鞍部、巫山への道が下っていく
今日の目的地が見えたので、気が楽になる。少し長めに休憩したあと尾根上を進む。道の左右にはブナの木が、ここそこに生えている。少し下り、11時31分主稜線の分岐に来る。左は卡保山への道だ。右に曲がり進む。主稜線を進むので、左に烏來側も見える。11時41分、左に巫山への道がある鞍部に着く。鞍部わきの岩壁を補助ロープを頼りに上がり、原生林の間を十数分登る。灌木が低く、広い展望がある。卡保山と谷を挟んで、烏來の波露山がどっしりと座っている。その左奥の山は大保克山だろう。烏來側の谷に尖った特異なピークが、樂佩山の山腹に突き出ている。巫山だ。その遥か下に信福路が谷底をはっていく。

左は卡保山、谷を挟んで波露山がどっしり座っている
巫山の特異なピークが突き出ている
樂佩山山頂
更に10分ほど登り、12時6分、樂佩山(標高1533m)頂上に着く。ここは基石がない。左側は少し展望ができるが、周囲は樹木に覆われている。木々の間に見える範囲では、福山の谷底の向こうには模故山が、そしてその右には拉拉山から下ってくる檜山のある長い尾根が見える。その手前は北插天山の東稜だ。食事を取り30分ほど休憩する。秋とは言え、日なたでは暑いぐらいなので、木陰で休憩する。

樂佩山頂上から烏來福山方向が望める
山茶花の花が咲く、背後は卡保山
12時40分、下山開始だ。やって来た道を戻る。午前中は晴天だったが、少し曇ってきた。途中、山茶花の花が咲いているのに気づく。登りでも道に花びらが落ちていたのは覚えているが。このような条件の悪い場所で、小さな白花をつけている。巫山への道の鞍部をすぎ、13時8分に卡保山との分岐に戻る。左に尾根を進む。ブナの木もここで見納めだと思うと、少し残念だ。最後に樂佩山を仰ぐと、ガスがかかり始めている。天気は下り坂だ。急坂を下り、13時30分木炭古道分岐に戻る。

木炭古道を進む
炭焼窯跡
木炭古道を進む。少しの上り下りがあるが、この道はほぼ平に進む。数分進んで、沢に下る。すぐわきに炭焼窯跡と表示のある窪みがある。この道命名の由来だ。ここもテントが張れるぐらいのスペースがある。沢も近く十分泊まれる。沢沿いには数名の登山客が食事を取っている。道を訪ねられたが、もともとは組合山から雲森瀑布へ下るつもりが、道を間違えたと言う。更に数分進むと、また小沢を越える。水量はこちらのほうが少ない。小尾根を乗り越え下り、窪みを登る。14時に登山道と合流する。前回卡保山登山で登ってきた登山道だ。

沢を越える、休憩中の登山者グループと出会う
先に二人の登山者が下山している
左に折れて下り始める。緩やかな道がしばらく続いたあと、勾配を増していく。下っていくと、前を二人登山者が下山してところを追い抜く。逐鹿山から卡保山を縦走してきたそうだ。14時13分、右に樹木が切れて展望がある。この辺りは右側が切れ落ちている。はばの広い尾根を下り14時32分、水場に着く。しばし休憩する。

更に25分ほど下り、左に道を分岐する。午前登りに通りすぎた組合山鞍部への道だ。道は広くなり、状態もよい。日本の主要登山道のような感じだ。左に沢の流れが近くなり、急勾配を下る。15時14分、雲森瀑布に着く。ここは観光地なので、数名の遊楽客が滝の下で休んでいる。写真を取っていた老夫婦がどこからと尋ねたので答えると、随分歩いてきたものだと驚いていた。遊楽客にしてみれば、7,8時間の登山は別世界なのだろう。最後の休憩をゆっくり取る。

雲森瀑布に向けて最後の下りを行く
雲森瀑布前の筆者
15時30分、熊空に向けて最後のセクションを歩く。沢を二度越え、山腹道を進む。ガレた沢からは、朝に登った組合山が見える。緩やかな下り道は、実に愉快だ。右から逐鹿山への道を合わせ産業道路を下る。その先山道を下り、16時10分熊空に戻ってきた。

今回の歩行距離は12.8km、休憩込み所要時間8時間40分である。標高差約1350mの往復だ。稜線上の上り下りがあるから、累計登坂高度はこれより多くなる。天気がとてもよく、ブナの黄葉も満喫できた。体力に自身があれば、道筋も道標もしっかりしているの問題なく歩ける。困難度は山道についてはクラス2~3、体力要求度はクラス4である。長い登りなので、焦らず着実に登ることが大切だ。

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