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2015-03-09

2015年3月7日 宜蘭龜山島 401高地に登る

龜山島、中央の山が401高地、左は亀頭
蕃薯寮山から見る龜山島(2011年11月撮影)
宜蘭の龜山島はしばしば訪れている宜蘭の山から見ると、海に浮かんでいる亀が泳いでいるように見える島である。沿岸から約10キロほど沖合にあり、とても目立つ。以前は住民がいたが、その後軍事基地となり、住民は集落ごと本土に移住した。401高地とは、まさに軍用目的での命名である。2000年に開放されたこの島を訪れるのは、実は厄介だ。生態保護のため、上陸者の人数を制限しており、事前上陸許可が必要である。訪れた土曜は、単一日の総数千人に制限されている。自分での申請も不可ではないが面倒でもあり、月一で道案内役をしている慢集團企画の訪問団に参加して訪ねた。

宜蘭の沖に浮かぶ龜山島
龜山島、右が亀頭、左が亀尾、船の軌跡は帰りのルート
陸の敵仮想上陸点を睨む90ミリ砲
周囲9kmの龜山島は、数千年前に火山でできた島である。海底の火山から今でも海岸の近くに熱水が吹き出し、島の中には冷泉もある。ほとんどが山のこの島は、以前は漁業が中心の集落であった。移住した後に残された家屋がまだ残っている。401高地は、戦略上重要なポイントである。山の標高は398mだが、その上に施設が建てられこの高差を加算して401高地となっている。麓から1700余の階段が続く、山道としては上等な登山道である。これももともとは軍事目的で整備された道である。この道を歩くことも、実は事前申請許可が必要である。401高地は、初期の小百岳に選定されていたが、だれでも簡単にアクセスできるわけではないので、のちの改定で外されている。しかし、海の中にストレートにそびえる山は、登山者としては興味のある対象ではある。

烏石漁港で乗船する、遠くに龜山島が見える
今回の参加者は、大型バス三台都合120数名である。午前7時過ぎに板橋駅前を出発、第七高速道路を一路宜蘭に向かう。低く垂れこめた雲で、今日の天気が危ぶまれたが、雪山隧道を抜けるとそこには龜山島が浮かんでいた。天気はOKのようだ。烏石漁港から龜山島への船が出る。9時5分前に到着、観光センターで少し待った後、各バス毎に乗船する。高速艇で約35分ほど、港に近づく。港といっても堤防があるだけだ。まだ、軍事的な管理があるので港は撮影禁止である。9時53分、上陸する。我々以外のクジラ観賞の船客は、そのまま残り船は出て行く。

島へはあとわずか
荒涼とした海岸
島の上での行動は、船ごとのガイドにしたがって移動する。上陸した後、まず大砲の砲台があるところへトンネルを進む。岩をくりぬいたトンネルは、島の反対側、陸に面したところへ続く。この大砲は、実は宜蘭の浜辺に向けて設置されている。ガイドの説明によると、中国軍が太平洋から上陸する場合は、この浜辺になるのでそこに向けて、背後から攻撃するため設置したということである。当時の大砲がそのまま残っている。やって来たトンネルを戻り、あずま屋のたもとで今日の弁当を受け取る。ガイドの案内に従い、湖をめぐる歩道を進む。住民が去った村の跡に来る。当時の村長やお医者さんの家は鉄筋コンクリート造りだが、それ以外は石を積み上げたような家だ。日本時代に創立された小学校の平屋の建物を過ぎる。その先が集落跡である。村の突き当りにお寺がある。現在は陸から通う世話人がいるそうで観音が祭ってあるが、以前は道教の馬祖廟であったそうだ。建物は100年以上前のものである。ただ、屋根飾りなどの補修は十分ではない。お寺の隣は、ビジターセンターである。

集落跡の様子、ビジターセンターからの見る
石段脇の墓石
海岸を少し行くところから401高地への山道が始まる。10時56分、登り始める。海抜ほぼ0メートルからのスタートなので、登攀高度は山の高さとほぼ同じになる。すべて階段の登りなので、単調であるが100毎に段数が記されているので、どこまで登ったかわかりやすい。昨日の雨で、ところどころ滑りやすい。濡れた赤土も滑りやすいが、苔がうすく生えた石も底が硬い登山靴では滑る。山道は、雑木林の中を進む。ところどころ緩い坂も現れる。600段近くの道脇に墓石が建っている。墓石には咸豐八年(1857年)と刻んである。日本の明治維新の頃である。

雑木林の中を行く石段
1700段目と脇の基石
800段を過ぎるころから、坂が急になる。木製手摺も設けられ、下りの時の助けになる。道脇の大きな岩を過ぎ、1000段のところで二番目の展望台あずま屋を過ぎる。下方には亀尾の浜辺が海に突き出ているのが見える。先に登ったメンバーが休んでいるが、そのまま続けて登る。坂は更に急になり、稜線に上がると坂が少しゆるくなる。11時38分、1700段の脇にある基石を見る。そのすぐ上1706段が最後の階段だ。約40分の登りであった。階段の良い道なので、同じペースで上がれば思ったより楽である。

頂上から望む亀頭とすぐ脇の海底温泉吹き出しによる波
階段道を慎重に下る
頂上には展望台がある。先についたメンバーで展望台は満員だ。霧がかかってきたので、残念ながら遠くは見えない。いつも龜山島を眺めている海の向こうの山々は霧の中だ。亀頭が先にあり、その右側の海は海底から吹き出てくる温泉の水が混じり、コバルトブルーの波がたっている。午前中に通りすぎた、湖や旧小学校の建物も見える。写真を写した後、階段道を下る。12時、1000段目のあずま屋で休憩し、配布された弁当を食べる。

登山口近くの海岸
池脇の観音像
12時半過ぎ、登山口に向かって下り始める。登った時に滑りやすかった石段は、陽があたって乾きそれほど問題ではない。12時55分、登山口に戻る。ガイドは13時までに戻ってくるようにとの指示であった。ビジターセンターに進み、そこで少し待つ。13時15分、グループ全員が集まり、湖の山側を進む。石畳のよい遊歩道だ。冷泉を過ぎる。龜山島は約6000年前に火山活動で出来たという、その推定の根拠になっている石の脇を進む。13時33分、旧集落のあたりから対岸に見えていた観音像に来る。13時40分、港にもどりその後乗船する。

海底温泉が吹き出してくる場所、左に401高地が見える
帰りは、島の後ろ側を回っていく。こちら側は陸から見えない部分である。山が切り立って、そのまま海に落ちている。401高地から見えていた、海底温泉の部分を通り過ぎる。この辺りは酸性度が高く魚も近寄らないということだ。921地震(1999年)の前は、吹き出し口は海面が盛り上がっていたそうだ。亀頭を回りこみ島の脇をすすむ。この位置からだと、まさに亀が海を泳いでいるように見える。島を離れ烏石漁港に向かって進む。陸の山々は頂上が雲の中だが、一部は見えている。大渓の蕃薯寮山の姿が判る。14時40分、港に到着した。

島をあとにする
今回は、単純な山登りでなく島の観光で、その一部として山登りを登ったことになる。登山部分は、約2時間、山の往復は約3kmである。誰でもいつでも行けるわけではなく、さらに日本から来てすぐにいうのも簡単ではない。事前に十分な準備が必要である。海の中に浮かぶ山に登る、これはそれなりに面白い。

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