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2015-05-09

2015年5月7日 陽明山系磺嘴山 內寮から石梯嶺を越え保護区の磺嘴山を登る

翡翠谷から望む磺嘴山
台北に近い陽明山国家公園には、その立ち入りが制限されている磺嘴山生態保護區がある。擎天崗-風櫃嘴の石畳歩道の脇に、金網で囲われ鍵のかかっている登山口がある。磺嘴山への登山道だが、ここから先は生態保護區になる。事前に申請し許可を得ることがこの登山口を通る条件だ。月間入場者500名の数量制限がある。先月、初めて大尖山や富士古道を歩き、萬里のこの山域に足を踏み入れた時、次には磺嘴山へ行くことを考えた。今回は、その実現である。
平等里南西の内寮からスタートし、東側萬里大坪へあるく
右の高い部分が磺嘴山
20万年前に活動が休止したとされる火山群の一つになる磺嘴山は、陽明山公園内の火山である他の山々に比べると割合と火山らしい形状である。真ん中が凹み磺嘴池を主峰と北峰の稜線が腕を広げるようにして囲んでいる。石梯嶺から別れて磺嘴山へ伸びる稜線の西には大きな山容の大尖後山があり、これも火山である。大尖後山と稜線の間の谷間は翡翠谷と呼ばれ、沼のある草原が広がる。稜線と磺嘴山の周囲が生態保護區となっている。前回訪問の大尖山は、稜線の東側になり、この一帯は保護区ではない。大尖後山も保護区外になる。
陽明山山系の南東側になる
今回は、事前に入場許可を取得しての山行である。一回の申請は三名以上最大十名までなので、希望者を募り許可申請をした。ネット上での許可は、思ったより簡単に取得できた。一人急遽用事でこれなくなり、今回は9名パーティーだ。保護区へ入るのは、擎天崗-風櫃嘴石畳歩道脇の登山口か、大坪からの二ヶ所に限られる。また、入る時に登山口脇のポストに印刷した許可書を投入する。我々は、擎天崗側から入り大坪側に出るルートで申請した。全体のルートは、平等里内寮からスタート、內雙溪古道支線を直接石梯嶺へ登り、石畳歩道を降りて入口へ行き、そこから稜線道を磺嘴山へ、途中翡翠谷を往復し登頂。稜線を途中まで戻り、鹿堀坪古道を大坪へ下った。

瑪礁古道との分岐、右に谷へ下る
朝7時過ぎにMRT劍潭駅の小19番バス停に集合する。小雨がぱらつき天気が心配だ。晴れていれば見える山々も、今日は全く見えない。7時20分発のバスで出発する。小15番バスは、長蛇の列ができるが、小19番は少ない。全員載ってもまだ空席がある。8時5分、終點内寮に到着する。ここは一年近く来ていない。バス停のあずま屋でスパッツなどを付けて準備する。8時17分歩きはじめ、涸沢を渡り尾根に向けて登る。新圳山を越えてやってくる道と合流し、その先すぐに右に谷に下る。尾根をそのまま行く道は瑪礁古道である。谷沿いに10分ほど下ってくると、そのまま谷沿いに進む道と谷に下る道がある。この道が內雙溪古道である。右に沢に下る。8時41分、沢を越える。水量は多くない。渡ったところで一休みする。幹に取り付けられている寒暖計は17度を示している。

內雙溪古道の渡渉点
稜線道を登る
內雙溪古道は沢の左岸を下っていくが、我々は支線を石梯嶺へ登る。ずっと登りのセクションだ。補助ロープのセクションを過ぎ、左に尾根に沿って行く道と、右に枝沢沿いに進む道との分岐に来る。5Kと白のペンキで石に距離が書かれている。ここは左に折れて尾根道を登る。右に進んでいけば、北五指山へ通じる。尾根道は急坂が続く。補助ロープもある。道がゆるやかになって来ると、淡基古道と合流する。9時21分、渡渉点から約35分の登りである。

はじめの草原、下のほうに牛の群れ
金網の門がある磺嘴山登山口
淡基古道を右に少し行く。僅か3分ほどで、左に石梯嶺への道が分岐する。ここからは最後の登りである。この付近は牛が多く歩くので、道がボコボコで注意しないと足をとられる。幸い出発から雨は降っていない。9時35分、はじめの草原にでる。草原の下のほうに牛が数匹がこちらの様子を伺っている。また森の中にはいり進む。数分で擎風歩道が通る草原にでる。霧が晴れ始め、大尖山や杏林山が見える。左に歩道を登り、石梯嶺を越えていく。右に磺嘴山が霧の間から見え始めた。心配した天気は、どうやら大丈夫のようだ。道なりに下り、10時7分磺嘴山登山道入口に着く。歩き始めて約2時間だ。

ほりこまれた坂道で歩きづらい
ぬかるみを通り過ぎる
入口にはコンビネーションキーで鍵がかかっている。許可と共にもらった番号で鍵を開け、中に入る。この入口前は何度と通り過ぎているが、中に入るのは初めてだ。登山道説明板がある。少し休憩し、山道を歩き始める。石がゴロゴロする道は、坂の部分は深く彫り込まれていて、歩きづらい。平らな部分は、ぬかってドロドロである。杉林の中を進む。華八仙の白い花がまとまって咲いている。道が下りになり、防迷線のロープが道をはっていく。右に道が分岐する。これは山腹をいく淡基古道の一部で擎風歩道へ続く。少し登り返し、10時57分避難小屋に到着する。白壁コンクリート造りの小ぎれいな小屋である。休憩する。

避難小屋、遠くに磺嘴山が見える
翡翠谷への分岐、地面に防迷線のロープ
避難小屋は、大尖山からの尾根と合流する小ピーク上にある。右に道を進めば大尖山へ行く。防迷線にそった道を下っていく。草原が現れる。前方には磺嘴山がまだ遠い。避難小屋から約15分、11時26分左に翡翠谷への道が分岐する。翡翠谷も保護区内になるので、ついでに下って立寄ることにする。道には防迷線がある。10分足らずの下りで、小沢を越えて翡翠谷の草原に降り立つ。広い草原で、反対側は大尖後山が高い。北側には磺嘴山が控えている。沼状の水たまりもある。南側は、大尖後山を回りこんで沢沿いに金包里古道へ下っていく。また、榮潤古道もここからはじまる。立入り制限地区なので、自然が多く残っている。

稜線の草原道を磺嘴山へ進む
磺嘴山山頂
頂上での記念写真
11時47分稜線へ登り返す。稜線分岐から左に進む。二、三分で鹿堀坪古道の分岐を過ぎる。その先から、磺嘴山への登りが始まる。森の中の急登を過ぎ、草原に一度でる。緩やかな登りを進み、また森の中を登り始める。それが切れると、草薮の間の急登が続く。20分ほどで、道標に着く。ここは表示はないが、左に磺嘴山北峰への道が分岐する。更にゆるい尾根上の道を進む。向こうから4名のパーティがやってくる。すれ違いの時に、保護区への許可を取っているか質問された。私服の検査員隊だそうだ。我々は勿論許可を得ているので問題はない。12時25分、三角点基石のある磺嘴山頂上(標高912m)へ到着する。金山の海側は雲の中で見えないが、山側は霧が晴れて展望が広がる。左の谷底には磺嘴池が光っている。その対岸は北峰だ。草原の頂上で食事休憩を取る。

下りの道から見る大尖後山、左は石梯嶺山
鹿堀坪古道を下る
30分ほどの休憩後、下り始める。ここからは、尾根を追って大坪古道へ続く道がある。また、これを少し進み鹿堀坪へ下る道もあるが、一度往路稜線道を下って鹿堀坪古道を下ることにする。登りでは注意しなかった景色が前面に広がる。左に大尖山から石梯嶺への山々、右には大尖後山の大きな山容がある。大尖後山は別名冬瓜山というそうだが、そちらのほうがずっとあっている。13時半、鹿堀坪古道へ左に曲がる。坂を下り始める。10分ほど下っていくと、周囲が少し暗くなる。霧がかかっている。上から見えていた谷を埋める霧の中に入ってきたわけだ。沢音が聞こえてくる。13時48分、沢を渡る。13時58分、土地公のある分岐に来る。左から鹿堀坪山からの道を合わせる。

保護区の表示看板
沢を渡る
線香のある土地公と古道
霧の中の滝
古道に残る石段
巾の広い古道を下るにつれ、棚田跡を通り過ぎる。この周囲は以前集落があったようだ。14時17分、右に道を分ける。ここは直進しすぐ左に鹿堀坪山へ続く別の道の分岐を過ぎる。右に滝に降りていく道をとり、滝の前に来る。水量がある立派な滝だ。周りは霧で、深山の趣だ。古道へ登り返し、大坪へ引き続き下る。石階段などが現れる。15時、沢から用水路が分かれていく。用水路のコンクリ上を少し歩き、橋のたもとに来る。橋を渡っていく道は富士坪越嶺古道だ。用水路を更に進む。15時8分、登山口に着く。左に車道を進む。

コンクリ橋の脇を過ぎる






15時18分、霧の中にポツンとある大坪バス停に到着する。一日三便のバスは、次の便は18時である。更に歩くかどうか、考えているときちょうどタクシーが通りかかった。尋ねると、もう一台を呼んでくれるという。料金は萬里まで一人あたり60元、そこでタクシーで下ることにする。半分のメンバーはこのタクシーで、残りの四名はバス停で10分ほど待ち、やって来たタクシーで萬里へ、そこから筆車は953番バスで台北へ戻った。

霧の中にポツンと立つ大坪バス停
歩行時間約7時間、約12kmの道のりである。登坂は累計約780mだ。山道は、内寮から石梯嶺への道は、ほとんど道標がなく分岐も多いので、地図を読めることが前提だ。磺嘴山登山道は、彫り込まれて歩きにくい場所はあるが、防迷線などもあり全く問題ない。鹿堀坪古道は、道の状態がよい。困難度は山道はクラス3~1、体力はクラス3である。保護区への入場許可が必要なので、いつでもいけるわけではないがおすすめのルートだ。

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