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2015-10-20

2015年10月17日 台中谷關七雄 屋我尾山 - 東卯山縱走

東卯山への縦走路から見る屋我尾山(左奥に見える稍來山の前にある山)、右奥の三角ピークは佳陽山
八唐縦走路から見る屋我尾山-東卯山の稜線(手前の山並み)
台湾中部台中市の山は、先月鳶嘴山稍來山の縦走で初めて訪れた。今回は、そのすぐとなりにそびえる谷關七雄と呼ばれる七座の山のうち、四座を一泊二日で訪れた。谷關七雄とは、台湾を横断する中部横断公路の温泉地、谷關の周囲に大甲溪の谷を挟んでそびえる山々である。最高峰は2366mの八仙山(ハッセン山)で、高度順に馬崙山(バヌン山、2305m)、屋我尾山(ヤガオ山、1796m)、波津加山(ハツカ山、1722m)、東卯山(トウボウ山、1690m)、白毛山(1522m)、唐麻丹山(トマタン山、1305m)となる。今はすべて中国語読みの山名であるが、日本時代の命名や原住民言語に日本統治時代に漢字を当てたので、日本語で読むとオリジナルの山名に近くなる。

今回の訪問は、第一日にこの内の屋我尾山から東卯山へ縦走、第二日に八仙山から唐麻丹山に縦走へ縦走した。二日の行程は、民宿での宿泊があるが、それぞれ独立で異なるので、別々に記述する。先に、屋我尾山-東卯山縦走から記していく。

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北の大雪山登山口から南へ縦走
下りメインの歩き
大雪山遊楽区の看板がある登山口
台中への移動は、今回も山岳専用の運転手付き車両を雇い往復した。このような車は、登山者が相手なので、登山口への送り迎えや早朝出発などの対応ができ、人数が揃えば便利である。今回は都合8名のパーティーで、費用は皆で分担すればそれほど大きな金額でなくすむ。第一日目は6時半に台北MRT古亭駅に集合し、出発する。途中高速道路苗栗インターチェンジで、メンバー一人をピックアップし、一路台中へ向かう。第一号高速道路から第四号高速に入り、東勢を過ぎる。コンビニで一度、また大棟派出所で入山証申請で一度立ち止まる。

整備された登山道
休日の今日は、登山者が多くバスも二台先を行く。9時45分、鳶嘴山第一登山口を通り過ぎる。とても多くの車が道脇に停まっている。晴天の今日は、まさに登山日和である。そこから更に数キロ林道を進む。9時54分に大きな大雪山国家森林遊楽区の標識がある屋我尾山北登山口に到着する。車は、ここからまた同じ道を下って、夕方縦走の終点である東卯山へ行くので、登山中必要のないものは車に残し、日帰りザックを支度する。皆の準備が終わり、10時20分縦走を始める。

大きな倒木には梯子がかけてある
屋我尾山頂上
今日の行程は、標高1796mの屋我尾山より数十メートル高い位置にある登山口からのスタートなので、下りが基本の歩きだ。縦走なので途中には越えていくピークもあり、勿論一方的な下りではないが、二日の行程のうち今日は楽な部類だ。道は整備がしっかりされているので、とてもよい状態だ。木々にロープが渡してあり、道の範囲を示している。ところどころ登り返しがあるが、ほとんど緩やかな下りの道である。杉の植林を過ぎる。太い倒木には、梯子が掛けてある。500mごとの里程ポストの2kmを過ぎ、階段をすこし登り、11時19分屋我尾山頂上に着く。狭い頂上には数名の登山者がすでにくつろいでいる。

樹木の切れ目からの展望、遠くの三角ピークは佳陽山
縦走路分岐部
樹木に囲まれほとんど展望はない。東側にすこし樹木の間から遠景が見える。遠くに三角ピークが目立つ。標高3314mの佳陽山だ。聴くところによると、これから向かう東卯山方向も見えるということだが、樹木が伸びたためか見えない。休憩後11時42分、出発する。5分ほどで、分岐にやってくる。分岐には木の柵がある。この先の縦走路は、公園管理の歩道ではない。メンテもされているわけではないので、自己の責任において歩く必要がある。

大岩セクションを行く






分岐からは、しばらく急坂が続く。踏跡はそこそこ歩かれているが、先ほどの屋我尾山歩道に比べれば程度は落ちる。40分ほどの下りのあと、12時半に休憩して食事を取る。今日は、出発が遅いのであまり歩いていないが、昼時になったので事である。休憩後、まだ下りが続く。大岩がゴロゴロするセクションが続く。急な岩の斜面が現れる。補助ロープが取り付けてある。縦走路中唯一ロープのある部分だ。ボランティアによるものだろう。この岩場を下ったところが鞍部だ。登り返し、13時16分1635峰に着く。標識テープが沢山あるが、その他の表示はない。

テープが短冊のように結ばれている1635峰
崖の上を行く、谷を挟んで横嶺山が見える
また下りが始まる。こちらは屋我尾山からの下りに比べると、緩やかだ。14時30分、右側が大きな崖崩れで、展望が開ける。山並みはここで方向を今までの南北方向から東西方向に変える。深い谷を挟んで対岸には橫嶺山や鳶嘴山の山並みが見える。更に少し進むと、今度は左側(南側)が開ける。ここも大規模な崖崩れの上部のようだ。大甲溪の谷を挟んで、明日登る八仙山の大きな山塊がある。谷底は、今晩宿泊する民宿のある松鶴部落である。標高差は数百メートル、部落の家々は砂粒のように小さい。

大甲溪を挟んで白姑大山から八仙山への山塊が広がる
谷底の松鶴部落
崖上の稜線を行く
東卯山へ向けて高度を上げていく。振り返れば、背後には真ん中に中央高山群を挟んで、左に先ほど見えていた橫嶺山からずっと山々が続き、谷を挟んだ右には白姑大山からずっと八仙山への山並み大パノラマが広がる。縦走してやって来た尾根上には、屋我尾山と1635峰が前後に並んでいる。登っているこの付近は、断崖の端で注意が必要だ。滑落すればおそらく大怪我或いは死亡は免れないだろう。

広い範囲のパノラマが一望
東卯山の頂上はもう目の前だ
最低鞍部から東卯山頂上への高度差は約200mである。道には落ちた白い茶花が目立つ。急坂が終わり、大岩がゴロゴロするようになる。前方に反射板が見える。頂上まではあと僅かだ。15時22分、広い東卯山頂上(標高1690m)に到着する。出発してから約5時間である。頂上には大きな電波反射板が三つあり、それで頂上のスペースをかなり占める。周囲は樹木がなく、ここは絶好の展望台である。先ほど登りで見えたパノラマより更に広い範囲が広がる。西側は、大分太陽が傾いているので、ボンヤリしているのが残念だ。時間が早ければ、台中方向の街も見えるのではないだろうか。

東卯山頂上の様子、周囲は木製手摺で囲まれている
頂上の端から下山開始
今日は好天なので、気温も高い。持ってきたビールを取り出し、皆で乾杯する。飲み過ぎは問題だが、皆で分けて飲む頂上でのビールは問題ない。冷凍が溶けてまだシャーベット状が残っているが、最高だ。30分ほどの休憩後、15時53分下山を開始する。日暮れまで1時間半、ここからは整備された東卯山歩道になるので、暗くなってもヘッドライトでの下りは問題ない。

頂上直下の岩場




下り初めは、急な岩の道を下る。縦走してきた稜線道にくらべると、状態ははるかに良い。登山口まで約6km、はじめの里程ポスト20番が現れる。ジグザグに高度を下げていく。そのうち稜線にそって下っていく。道脇には、周囲の植物の解説板もところどころ設けてある。17時5分、少し休憩を取る。その少し先、13番の里程ポストを過ぎる。17時14分、德芙蘭步道との分岐に来る。登山口まであと2kmだ。すぐ先で涼亭を通過する。陽はだいぶ傾き、夕方の黄色い光線が森の中に差し込み、歩道を照らす。日没との競争だ。17時26分、送電鉄塔の下を通り過ぎる。山の向こうに太陽が沈んでいく。

遠くに大甲溪が夕陽を浴びて蛇のように蛇行しているのがわかる
山道も夕陽が差し込む
日没を見る
谷あいに夕暮れが迫る、谷底に松鶴部落が見える
いよいよ暗くなりはじめ、用意してあったヘッドライトを点灯する。17時41分、もう一つの德芙蘭步道分岐を通過する。あと0.5kmだ。17時49分、最後の石段を下り登山口に着く。もともとは、ここから廃棄産業道路を下って、大道院へまで行くつもりであった。しかし時間が遅くなったので、先に車に連絡し、ここまでやって来てもらっていた。周囲はすでに暗い。皆車に乗り込み、予約していたレストランに向け下り始める。車は、大道院を通り過ぎ、中横公路を松鶴部落へ向かった。

東卯山登山口についた、辺りはすでに暗い
行動距離(登り下りを含まない、水平二点間距離)約10kmである。休憩込みで7時間半の行動時間、途中天気がよいので写真を多く撮ったりしているので、実際の歩行時間は6時間弱ぐらいだろうか。この縦走は、困難度山道も体力もクラス3である。下りがメインだが、一部危険な部分もあり、初心者には勧められない。

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