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2018-03-12

2018年3月11日 平溪嶺腳-姜子寮山-石門山 平溪から山を越えて五堵百福へ

姜子寮山山頂から北を望む。左方向に下る支稜、その向こうには台北基隆の谷間と五指山、陽明山の山塊
台北から基隆へつづく谷間の南側は、西から東へ四分尾山,姜子寮山そして五分山の主要なピークをもつ山脈が続く。標高は729mの姜子寮山が最高点となるが、数百メートルの峰々である。この山脈の南側の谷は、今や台北近郊の主要な観光地となっている平溪十分がある。スカイランタンと称される提灯を空に飛ばすことで有名だ。もともとこの山脈の周囲は優良な石炭を産出する炭鉱が多くあった。しかし鉱山が閉鎖された後は、さびれた街になっていた。観光は新たな息吹をこの谷間に呼び戻している。

姜子寮山山頂のメンバー(JKさん撮影)
平溪の谷間と山を挟んだ汐止,五堵などの場所とを往来する道がある。今は自動車が通れる道が多くできているが、その昔は峠を越えて山脈の東西を結ぶ山道が歩かれていた。それらは、自動車道にとってかわられたが、ここ十年ほどは古道として再発見され、多くの登山者に歩かれるようになっている。今回歩いた道は、やはり炭鉱の集落としてできた嶺腳から台車道と呼ばれる、以前は谷奥の炭鉱から石炭を運送してたトロッコ道(すでに線路はなく舗装されている)をたどり、その終点から沢にそった古道を登った。姜南山との鞍部の峠から、姜子寮山の主稜線に上がり頂上へ、そこから北側に下る支稜の一つを旗尾崙や石門山のピークを越えて五堵百福へ下った。

南から北へ山を越す
姜子寮山を越す歩き
台北の東側にある山脈を越す
無人の嶺腳駅
いままで何度となく通った木柵から平溪へのバス795番バスで嶺腳集落の近く慈航宮バス停へ向かう。7時40分近くにMRT木柵バス停にやってきたバスは、すでに多くの乗客が乗っている。快晴の今日は、多くの登山者が山へ向かう。8時26分、慈航宮バス停につく。今日は全員で17名のパーティだ。基隆河の谷間を挟んだ向こうに、これから登る姜子寮山とその付近の山々が望める。支度をして8時35分に谷間にある嶺腳集落へ下っていく。

どこからかやってきた猫が線路わきでくつろぐ
台車道を山に向けて進む
嶺腳駅でトイレ休憩をした後、台車道を歩き始める。集落をすぎて少し下り、橋を越えた後少し登り始める。8時56分、右に靈嚴寺(滴水觀音)の山門を見る。更に道を進み、靈嚴寺への歩道入り口を過ぎる。最後の民家脇をすぎて、9時8分靈嚴寺への第二歩道の入り口を見る。舗装路はここで終わり、土の道が始まる。さらに数分で土の産道が終わる。ここで小休憩をとる。

沢沿いに行く



枝沢を渡り、細くなった道を沢沿いに進む。天燈(スカイランタン)の残骸が沢に落ちている。沢脇の苔むした部分を通過する。滝などを巻くためか、急に高度を上げる。9時27分、廃坑入口の前を過ぎる。周囲には当時使われていた機材が、草に埋もれ朽ちて取り残されている。その先すぐに右に中窯尖へ続く道を分ける。去年4月に整備されたようで、新しい道標が取り付けられている。左に沢沿いに進む。杉の人工林を過ぎる。石段を登り、9時44分、土地公の祠のある広場に来る。石段や土地公の石祠は、この古道が往来が多く主要な古道であったことを示している。道標には尪仔石坑380mと記してある。少し休憩する。

炭鉱廃棄入口近くに残された機材
土地公(道教の神様の一種)の石祠
沢を越す
少し進み、沢をこえて右岸に渡る。沢は方向を西向きに変え、また沢を越す。勾配がきつくなってくる。10時6分、かなり大きな廃屋のわきを過ぎる。この近くには棚田などもなく、この廃屋は農家でなく、古道を通る通行人を相手に商売をしていたお店の建物ではないだろうか。細くなった沢をこして右岸に渡り、人工杉林の急坂を登る。10時17分、鞍部峠に着く。左は姜南山,直進して下る道は、姜子寮山の山腹をトラバースしていく古道だ。

古道わきの廃棄された民家
急坂を登る
小休憩後、主稜線に向かい急坂を登り始める。補助ロープも取りつけられたかなりの急坂が続く。標高差は200m弱だ。20数分の林の中の登りが終わり、茅草の間を登る。樹木がなくなり周囲が見渡せる。今日は天気が良いだけでなく、空気が透き通っているので、とても広い範囲が見える。草の間の道を更に数分登り、主稜線の分岐に着く。メンバー全員が登り切ったところで、稜線を姜子寮山山頂へ向かう。5分ほどの緩やかな登りが終わり11時6分、頂上に着く。頂上は大勢のハイカーでにぎわっている。北側からだと、車でかなり高い場所まで来れるので、姜子寮山は気軽に訪れることができる。山頂のハイカーの大部分はそうした行楽客が多い。

林からでて茅草の間を登る、展望がひろがる
主稜線は茅草の間を行く、五分山とその左に基隆山
標高792mの姜子寮山は、もともと展望のよい山頂でいままで数回訪れているが、今日は空気の透明度が高く、数十キロ先の台湾中央の白く雪をかぶった高山まで見える。宜蘭と境界をなす山並み、先週訪れた雙溪の山々、基隆瑞芳の山々、そして台北近くの陽明山五指山など、360度の展望ができる。四か所に置かれた展望台のうち、南側の展望台からは朝出発した嶺腳あたりもよく見える。展望台の柱につけられた寒暖計は18度を示しているが、春の日差しで実に気持ちが良い。日本では五月晴れというが、まさにその陽気だ。

山頂から西を望む、遠くに台北の街
南を見る、遠くに白い高山群が見える
北方向を望む、基隆とその向こうに海が望める
旗尾崙への分岐部
素晴らしい景色に見とれているうちに30分が過ぎている。11時37分、西側に向けて下り始める。これから下る支稜が長々と住宅や建物が多く建てられている谷に向けて続いている。階段道が長く続く。途中姜子寮古道への山腹道と拔西猴山の稜線道を分ける。11時52分、石のベンチが置いてある場所で左にこれから歩く支稜道が分岐する。入って歩き始める、道の状態がとてもよい。以前5年前に歩いたときに比べると、明らかに多く歩かれている。それだけ山登りが普及し、多くの人が歩くようになった結果だ。12時4分、左に姜子寮絕壁への道の分岐に来る。少し開けてみんなが座れるスペースがあるので、昼食休憩にする。

昼食をとった分岐部分
@旗尾崙
石段の急坂を下る
30分ほどの休憩後、旗尾崙へむけて歩く。道はかなり下っていく。林の中の道は、ときどき風が吹きぬけ気持ちが良い。13時旗尾崙(標高389m)に着く。右側(北側)は樹木がなく、基隆の港やその沖にある基隆嶼の島が見える。反対側も少し開けた木々の間から、1月に歩いた展望峰が望める。少し休憩し、道を進む。石段もある坂を下り、高度を下げる。13時14分、分岐にくる。最近のものと見える立派な道標が立てられている。5年前は草に埋もれた道だったのが、嘘みたいだ。さらに少し下がり、右は泰安瀑布、左は福德宮へ続く十字路鞍部を過ぎる。ここにも立派な道標、それだけ多くの人が歩くようになり、地元政府が整備したということだ。

新しい道標のある分岐
樹木がない稜線からは展望ができる
直進して稜線を追っていく。ここからは、ハイカーは少なくなるようで道の状態は少し落ちるが、それでも草深い道とは大違いだ。少し登り返し、小ピークを越していく。両側に樹木が少なく開けた場所からは南北それぞれの風景が見える。13時37分320峰を過ぎ、また下る。その先鞍部で左に姜子寮路へ下る道を分け、補助ロープのつけられた急坂を登り返す。13時51分、右に石門山北峰へと続く道を分け、さらに進んで14時2分、今日の最後のピーク石門山(標高276m)に到着する。ここも北側が開け、最終目的地の百福駅やその周囲のコンテナヤードなどが下方に見える。

石門山山頂
以前の記憶で道の状態がよくないと思っていたが、よく整備されていたことやメンバーの足並みがそろっていたので、予定より早く最後のピークについた。そこで長めに休憩し、ビールを開け皆で飲む。昨晩冷蔵庫で冷凍してコチコチだったビールはまだ少しシャーベット状のものが残っているが、冷えていて実にうまい。今日は筆者だけだったが、味をしめたメンバーは次回は自分でも持ってくるとのこと。

石門山からの眺め
下りでトレールランナーとすれ違う
14時半、石門山を後にする。道はすぐに急な坂が続く。そのあとは少し緩やかな道になる。下方からトレイルランナーがやってくる。先頭でコースを記す石灰をつけていく人のようだ。少し下っていくと、果たして大勢のランナーが登ってきて行違う。14時54分、山道は終わり長安街の住宅街にでる。ここからは、車道を下っていく。15時10分過ぎ、百福駅に到着し、本日の歩きは終了だ。待つこと十数分で台北方向の区間電車がやってきた。

区間電車で台北へ
実によい天気のもとでの山行となった。前日からの晴天は、暑くなくまた風も吹いていき爽快だ。雨の多い冬の台湾北部の山歩きから解放され、まさに登山のための気候だ。休憩もけっこうとった、当初の想定より楽な山歩きであった。距離は約11km、登坂累計約680m、休憩込みの活動時間は約6時間半である。今のような道であれば、レベルはルート体力とも3である。お勧めのコースだ。

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