このブログを検索:山名などキーワードを入れてください

2014-07-19

2014年7月17日 雙溪北勢溪古道 - 灣潭古道 - 烏山古道

清流沿いに行く灣潭古道
しばらくぶりで雙溪を訪れた。山に囲まれた高原に位置するこの地域は、毎回桃源郷に来たような思いにとらわれる。それは、交通が不便な奥まったところにあると同時に、民家が山のかげにひっそりと有るような、不思議な違う感じがするからだろうか。人口密度も低い。特に沢の奥にあるような民家は、もう誰も住んでいなところもけっこうある。

北側からぐるっと古道三本を歩く
前半二つの古道はあまり起伏がない
今回は、以前訪れた泰平虎豹潭よりもさらに奥の灣潭である。雙溪駅からF811バスで行くと、途中寄道部分があることも関係するが、1時間15分ほどかかる。ここには、灣潭古道や北勢溪古道をはじめ、歩きやすく自然が多く残る山道がたくさん残っている。かなり最近まで日常的に歩かれていた道である。灣潭古道や北勢溪古道は、沢沿いに進む道である。水際に岩などが迫っている場所は、道は登って高く巻くが、基本はあまり登り降りのない道だ。一方、最後に歩いた烏山古道は、峠越えをする道だ。この道は灣潭から泰平や大溪へ沢沿いに下っていく時に歩かれたのだろう。
雙溪の中の古道群
保成坑口バス停、この道を進む
台北7:30発の自強号で雙溪駅へ向かう。F811バスは8:36発、時刻表どおりに8時半に到着すればちょうど良い乗り継ぎだが、案の定列車は10分ほど遅れて到着。バスは出発した後だった。そこで、駅前で並んでいるタクシーで登山口壽山宮へ向かう。台鉄は、残念ながら結構遅れることが多い。日本の鉄道の感覚だと、間に合わないこともあるので、はじめからバックアップは用意しておいた方がよい。

料角坑,沢を橋で越える


タクシーは、35分ほどで壽山宮山門前に着いた。今回は、初めてこの地に来るので、交通手段や道の様子を探ることも目的である。9時10分前に壽山宮から雙泰產道を灣潭方向へ歩き始める。沢には昔ながらの橋が掛かっている。雙泰產道が出来る前に使われていた道に掛かる橋だ。四、五分で保成坑口に着く。ここにもバス停がある。右に曲がり産業道路を進む。登ったすぐ上には左に道が分岐する。こちらを進んでみるが、民家を過ぎてさらに高度を上げていく。この道は、溪尾寮古道への道のようだ。戻り先ほどのところは右に進む。道は沢沿いに進んでいく。民家の前や土地公を通り過ぎ9時40分、沢に降りて橋で越える。ここに料角坑バス停がある。実は、F811は往路復路とも、ここを通り過ぎる。もし北勢溪古道を歩くなら、ここまでバスで来れば車道歩きを少なくできる。

中正橋、橋の向こうに建立記念石碑が見える
大岩のセクションを歩く
立派な手洗いもあり、今日は他に誰もいないが、休日には水遊びをする遊楽客が訪れるのだろう。道を登り返し、民家(料角坑17號)の前を過ぎる。そのすぐ左先に北勢溪古道入口がある。朝出発時に台北は快晴だったが、ここは曇り空である。気温があまり高くなく、風が吹き抜けていき、ハイキングにとてもよい。道は、草むらを過ぎてすぐ林の中を進む。道幅もあり、とてもよい古道である。入口から10分ほどで枝沢を中正橋で越える。もともとは、石がかかっていたようだが、五本の丸太になっている。それもかなり時間が立っているようで、だいぶ腐りかけている。橋のたもとには、石碑がある。建立は民国五十五年(1966年)と記されている。古道といっても、この道がかなり最近まで歩かれていたことを示している。10時2分、橋の少し先で沢わきに出る。歩き始めて約1時間、小休憩する。
小沢を橋で越える
もともと夏は渇水期で、台風などの大雨も最近はないため、沢の水は多くない。しかし、水は清く底まではっきり見える。台北市民が利用している水源ある。道は沢からまた上に登り、平らになる。木橋をまた越える。沢際の大岩がゴロゴロするセクションを過ぎると、幅広の道になる。また支流を橋で越える。この支流は小さな滝で本流に流れていく。休憩には良さそうな場所だ。その先、少しで山の中に入っていく山道がある。道標は無いが、料角坑山方向へ行く道だろう。10時22分、この辺りで北勢溪古道の半分をやってきた。少し登り下り、別の大岩セクションを過ぎる。また小沢を木橋で越え、少し長い坂を登る。下ると道は、自動車が通れるほどの巾の道に出る。そこからしばらくこの道を行き、まもなく民家(料角坑38號)わきに着く。10時45分古道はここで終わりである。入口から約1時間の道のりだ。

北勢溪古道も終りに近い
橋で北勢溪を左岸に渡る
民家の前からは左右に道がある。左にとり、沢に向かってい進む。土管を並べて造った橋が掛かっている。橋を渡り道なりに進む。僅かな上り下りを過ぎ10時57分、三水潭に着く。ここは北勢溪と灣潭溪の合流点で、沢は大きくなり坪林方向へ流れていく。水飄兒仙谷という石碑がある。最近できた遊楽用施設だ。灣潭溪を橋で渡り対岸の土地公前に着く。古い石の祠が川側に、道を挟んで立派な新しい土地公廟がある。雙溪は土地公や有應公が多く、焼香されている。有應公とは、陰廟とも呼ばれ、未婚女性や行倒れ、素性の判らない死人を祭った廟である。未婚女性も対象なのは、中国の伝統では結婚していないと、いわゆる「家」の墓に入れないからである。新しい土地公廟わきの椅子に腰掛け食事休憩をとる。

三水潭、左に土地公が見える
三水潭の新旧土地公
灣潭古道
20分ほどの休憩後11時20分、灣潭古道を進み始める。こちらの古道は地方政府の整備が行われている。現れた最初の4.5kmキロポストが古道の長さを示している。10分ほどの歩きで、張家莊に着く。駐車場などもあり、ここも遊楽スポットである。駐車場の先から少し車道をゆくと、灣潭古道の入口が現れる。レンガの階段を登り、素朴な道がまた始まる。沢がかなり下に見える。自転車を押してくるグループとすれ違う。このような道であったら、マウンテンバイクで通ることは可能だ。下って行くと沢に近くなる。夢潭だ。11時55分、沢岸に降りて休憩する。親子連れがハイキングに来ている。水の流れを見ていると、時の流れを忘れる。風が吹き抜け、台北の暑さをしばし忘れる。台北に戻ってニュースを見ると、台北は最高37度の高温を記録していた。

張家莊を過ぎたあとの灣潭古道入口
夢潭
灣潭溪と左岸を行く古道
灣潭溪と対岸の滝
古道わきのキロポスト
10分ほどの休憩後、また古道を進む。300メートルごとにキロポストや新しい道標がある。北勢溪古道とは対照的だ。枝沢を橋で越えていく。12時20分、対岸に滝が掛かっているのが見える。道脇にはベンチも設けられている。左側の沢が近くなる。道幅も広くなる。12時半、1.2kmキロポスト近くで、古道はいままでの素朴な土の道から、整備された小砂利の道に変わる。古道に手を入れて新しくしてしまうことには、反対意見もある。右に骨壷を置いた岩の洞窟わきを過ぎる。砂利道はそのうちコンクリブロックの道になる。大きな有應公の石の祠を過ぎる。12時50分、古道終點につく。灣潭二號橋があるが渡らず、土地公方向に進む。バス亭が灣潭橋のわきにある。橋のたもとで休憩する。

灣潭古道わきの有應公祠、コンクリブロックの道に整備されている
灣潭、二号橋から上流方向を見る
烏山古道入口
雙溪駅行き復路F811バスは灣潭15時発である。もし灣潭の到着時間が遅ければ、次の烏山古道は歩かず終了するつもりだったが、時刻はまだ13時、十分に古道を行ける。橋のたもとに鶯子嶺への登山口がある。車道を少し登っていく。犬が二匹吠え立てて近寄ってくる。土地公があるT字路で、右にバスの道が別れる。烏山古道へは直進だ。前方右には民家があり、子供が遊んでいる。すぐ左に道を曲がり、沢を越える。その先の民家(烏山28号)わきから古道が始まる。

下草のない良い道が続く


烏山古道は峠越え道である。すぐ急坂が始まる。峠まで約200mの標高差で、今日最大の登りになる。土の細い道だが、グーグル上の地図では烏山路として太い道で描かれている。過去は、それだけ重要な道だったということか。右下に小沢をみて登っていく。土地公が現れる。今も焼香されている。森のなかを行く道は、下草もなくよい道だ。そのうち沢音もなくなり、だいぶ登ってきたことが判る。たまに倒木が現れる。13時50分、峠に着く。入口から約40分足らずの登りである。ここは十字路で南には網形山、北には豎旗山や烏山尖へと続く。今回は、まだ烏山古道のこの先の様子がわからないので、これらは次回に回すことにする。峠で少し休憩する。

峠で一休み、右(北)は豎旗山へ続く
炭焼窯跡
14時、峠を下り始める。しばらくして杉林の中を進む。数分やってくる。炭焼窯跡が道端にある。小沢が現れると、ほどなく開けて麓が見えた。左の烏山尖は、ガスが去来している。民家(烏山42号)の直前を過ぎる。流し台に沢から引いた水が流れている。顔を洗わせてもらう。烏山尖の麓には、大きな敷地の雲霄精舍の廟宇(道教)が見える。舗装路を下り、雙泰產道に出る。左に曲がり雲霄精舍正門まで来る。時刻は14時半、バスまではしばらく時間がある。ここには、バス停は無いがF811は、どこでも乗車できるのでここで休憩して待つことにする。晴天下ではとても暑くて座っていられない道ばただが、曇で風もあり全く暑くない。シャツを着替る。

民家の中を通り古道は終わる、左は烏山尖
背後の烏山尖はガスが去来している
そのうち、道端の草刈りをしている二人の作業員がやって来た。世間話をする。そのうちの一人は80過ぎだそうだ。まだとても元気で、こうして作業をしている。桃源郷であるが由縁か。人間は体を動かしていいないとだめになることを、つくづく思う。15時12分、バスがやって来た。手を上げてバスを停め、乗車する。乗客は、二人だけだ。その後、料角坑を一回りした後、虎豹潭で数名の登山者を載せ、16時に雙溪駅に到着、16時20分の区間電車で帰京した。

F811バスがやって来た

灣潭もとてもよい場所だ。虎豹潭周辺と同じに、下草もないよい道が続いている。高い山はないが、このゆったりとした谷間に清流が流れ、自然が豊富に残っている。いつ来ても楽しい。今回は歩行距離約14キロ、休憩込みの行動時間は5時間20分ほどである。前ニ者の高度は登り降りもあまりなく、全体としてあまり時間をかけずに歩いた。山頂はガスがかかっていたが、今日のような古道歩きであれば、盛夏の今、こうした曇の天気のほうがずっとよい。風も吹いていたので、あまり暑さを感じずに過ごせた。今回で灣潭の様子がわかったので、ここからまたいろいろと歩くことにしよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿